「元SEALDs 諏訪原健「小池新党より枝野新党を支持するワケ」」


 元SEALDsの諏訪原健氏について、個人的には何も知らないが、俺も各種報道を概観しているが、次の見方を否定する材料はなく、賛同できる。

 報道を概観すると、今回の選挙の構図は「三つ巴」の戦いだと言われている。しかし選挙の後のことも考えたとき、あるいは「上からの政治」か「下からの政治」という対立軸を想定したとき、選挙の構図は「自公・希望・維新」対「立憲民主・社民・共産その他」という形になるのではないだろうか。


 以下、アエラ「20代の処方箋」(2017.10.4 09:00)より。

 野党第一党だった民進党が分裂し、小池百合子前原誠司両氏が主導した「希望の党」合流組と、枝野幸男氏らリベラル派が立ち上げた「立憲民主党」組に分かれた。SEALDsにかつて所属した諏訪原健さんが小池新党ではなく、枝野新党を支持する理由とは?

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 10月22日にいよいよ総選挙が行われる。森友・加計学園疑惑を隠蔽する狙いがあるとしか思えないタイミングで、解散を断行した安倍晋三首相には多くの批判が集まっている。

 突然の解散は、思いもよらぬ政界再編の動きにつながった。9月28日午後、民進党両院議員総会で、小池氏率いる希望の党と合流する方針を決定した。しかし、その後の小池氏による「リベラル排除」発言を受け、無所属での立候補を表明する候補者が相次ぎ、状況はさらに流動的になっている。

 そんな中で2日夕方、枝野氏が立憲民主党の結成を宣言した。枝野氏の記者会見の中で特に印象的だったことが二つある。一つはボトムアップ型のリーダーシップが強調されていたこと。もう一つは自らの理念や政策を貫く強い決意を示していたことだ。

 一つ目の点については、安倍政権の暴走を止めた後にどうするのかという話の中で語られていた。枝野氏は上からのリーダーシップや民主主義、あるいは経済政策には限界が来ているという現状認識を示した上で、自らはボトムアップ型のリーダーシップや民主主義、社会・経済のあり方を目指していくと述べた。人々の間から湧いてきた「枝野立て」という言葉に後押しされて、新党を結成するに至った枝野氏が「ボトムアップ型のリーダーシップ」と語ることには非常に説得力がある。また、立憲民主党としての具体的な政策はこれから参加してくるメンバーと一緒に決定したいと述べていたことや、多様な市民と連携して戦っていく意志を示したことからも、「ボトムアップ型のリーダーシップ」を現実のものにしていこうという思いが読み取れる。

 もう一つの点について枝野氏は、「政治家にとって、理念や政策は何事にも変えがたい、譲ってはならない筋」と述べていたことだ。一見当たり前のことのようだが、政治家の言葉が軽々しく扱われ、選挙での勝利だけが目的化しているような状況を度々目にしてきた中で、この言葉は心に響くものがあった。

 枝野氏が大切にしているという「変わらぬ初心」という言葉からは、政治家とはいかなるものであるべきかを考えさせられた。

 これらの言葉を聞いていると、枝野氏が考える政党や政治家のあり方は、小池氏が率いる希望の党とは、対照的と言ってもいいほどにかけ離れていると、改めて思わざるを得ない。

 立憲民主党ボトムアップ型ならば、希望の党トップダウン型の政党だ。

 小池氏は新党結成の記者会見で「リセットして私自身が立ち上げる」と述べ、代表就任を表明した。結成に至るまでの過程では、若狭勝細野豪志両氏などと議論を重ねていたようだが、それが「リセット」されたということなのだろう。

 代表就任も唐突に、鶴の一声で決められたようだった。

 また1日に報道された希望の党の規約案によれば、同党は「ガバナンス長」を置くことで「党内統制」を行うという。都民ファーストの会所属の都議会議員に対して、個別に取材に応じることは避けるようにとの指示が出されていたように、上からのリーダーシップで引き締めを図る意図があるのだろう。

 理念や政策という面で見てみても、希望の党には通すべき「筋」はないようだ。小池氏自身は、外交安全保障や、憲法などについての考え方から、「タカ派」の政治家として知られている。その意味では、日本のこころを大切にする党の中山恭子氏らと組んだのには納得がいく。その一方で政権交代のために、理念や政策に大きな差異があるはずの民進党との合流を図かったり、突如として脱原発について言及したりするなど、必ずしも自身の理念や政策を貫くことは重要視していない。小池氏は権力を手にするためなら、手段は選ばない人物のように思えてならない。

 そんな小池氏も、民進党議員の離脱が相次いだり、連合からの組織的な支援が受けられなかったりという状況を踏まえて、本気で政権交代を目指すことは諦めたように見える。政権をとれないとなった時、彼女が自らの影響力を高めようと考えたら、どのような手段に出るだろうか。自公政権と手を組むことで、政治を動かすというシナリオも十分にあり得るのではないか。

 安倍政権への失望から希望の党に投票した有権者からすれば、それは裏切りになるだろうが、彼女はきっとそんなことは気にしないだろう。何といっても「前原氏を騙したのか」という問いに、「ふふふ」と不敵な笑みを浮かべて答えるような人物なのだから。

 報道を概観すると、今回の選挙の構図は「三つ巴」の戦いだと言われている。しかし選挙の後のことも考えたとき、あるいは「上からの政治」か「下からの政治」という対立軸を想定したとき、選挙の構図は「自公・希望・維新」対「立憲民主・社民・共産その他」という形になるのではないだろうか。

 私自身は、国民の側から出発する、ボトムアップ型の政治に期待したいと思う。さらに言えば、政治を変えてくれるのではないかと期待するだけでなく、草の根から政治を変えようという動きに参加したい。信念を曲げない、ボトムアップ型のリーダーシップの政治には、私たちの力を生かす道が開かれているはずだ。どうせならその道に賭けたい。(諏訪原健)


諏訪原健(すわはら・たけし)/1992年、鹿児島県鹿屋市出身。筑波大学教育学類を経て、現在は筑波大学大学院人間総合科学研究科に在籍。専攻は教育社会学。2014年、SASPL(特定秘密保護法に反対する学生有志の会)に参加したことをきっかけに政治的な活動に関わるようになる。2015年にはSEALDsのメンバーとして活動した