以下、朝日新聞デジタル版(2018年10月2日05時00分)から。
ナ・リーグ中、西地区の優勝決定戦を残して、日程を終えた。日本選手は、投打「二刀流」の大谷翔平(エンゼルス)を除くと、投手6人、野手1人がプレー。2日(日本時間3日)からのプレーオフには田中将大(ヤンキース)と前田健太(ドジャース)が出場する。
開幕早々に3試合連続本塁打を放った大谷が、真に強打者として認知された1本がある。4月27日のヤンキース戦、セベリーノからの4号ソロだ。内角の97マイル(約156キロ)に対し、両ひじをたたんでバットを出し、左腕で押し込んだ。
打球速度180キロの強烈な弾道は、大リーグの投手たちに衝撃を与えた。この1本以降、長打警戒で外角への配球が増える。それでも「本塁(ベース)の上がストライク」と、コースに左右されず、自らの打撃に徹して、22本塁打の平均飛距離は413フィート(約130メートル)。100打席以上の打者では22番目に位置する。
オープン戦は手元で微妙に動く球に苦しんだ。すると、開幕直前、右足を上げずにタイミングをとるフォームへ大胆に変えた。大谷は、「見た目は大きく変わったが、大事なところは変わっていない」と言う。
大事なところとは、左ひじを捕手側へ突き出して、テイクバックをあらかじめ取り、右ひじも上半身から離して懐を広く開けた「構え」。内角をさばくために2015年ごろから改良を重ねてきたフォームを、大リーグの投球を体感したうえで進化させた。
投手としては右ひじの故障に苦しんだが、初登板初勝利(4月1日)や、7回12奪三振(4月8日)など序盤の投球は圧巻だった。「バーランダー投手(アストロズ)の球や、ベッツ選手(レッドソックス)に打たれた先頭打者本塁打が印象に残る」と大谷。野球大国の猛者たちへの対抗心を、さらなる成長の糧にする。(アナハイム=山下弘展)
<エンゼルスのソーシア監督> 今季限りでの退任を発表。「ショウヘイは大リーグの怪物たちのなか、投打にがんばってきた。来年は、もっと大リーグを理解するだろう。すべては経験だ。彼はますますよくなる。投げて、10盗塁を決め、20本塁打以上打てる選手は、そういない」