デニー県政の船出に追い風 沖縄・豊見城市長選、得票は2氏合計を下回る

 以下、沖縄タイムズデジタル版(2018年10月15日 05:00)より。

 沖縄県知事選後、初の選挙として注目が集まった豊見城市長選は、玉城デニー知事が全面的に支援し、「オール沖縄」勢力が推した山川仁氏が制した。知事選に続く勝利で、船出したばかりの玉城県政に追い風となる。21日の那覇市長選にも大きな弾みをつけた。一方、自民は保守分裂の末の連敗で、今後の選挙に向け態勢の立て直しを迫られる。

セット戦術が成功
 「オール沖縄」勢力が市長選で勝利するのは、1月の南城市以来。11市のうち「オール沖縄」勢力が推す市長は那覇市南城市に続いて3人目となり県政運営の後押しとなりそうだ。
 選挙戦では、玉城知事らが積極的に応援に入ったほか、知事選同様、翁長雄志前知事の存在を前面に出した。「オール沖縄」勢力は那覇市長選を含め、今後の選挙でも同じ戦略で臨む構えだ。試金石でもあった豊見城市長選での翁長氏、玉城氏とのセット戦術の成功は「オール沖縄」勢力にとり、今後へつながる重要な成功事例となった。
 ただ、山川氏は投票総数の過半数を獲得できなかった。保守2氏の得票合計を下回っており、「オール沖縄」勢力が支持を伸ばしたとは言い切れない。また、来年予定の衆院補選、参院選は政党が全面に出る政党選挙となる。
 知事選以降、立憲民主、国民民主など県内での基盤が薄い国政野党も積極的に関与しており、複数政党でつくる「オール沖縄」勢力が候補者擁立で折り合えるかが鍵を握る。

自民は立て直しへ
 一方、自民は保守分裂の結果、宜保安孝氏への公明の推薦が得られず、出だしでつまずいた。知事選で敗北を喫した後、豊見城市長選で勝利して那覇市長選に勢いをつけたかっただけに、痛手となった。
 保守系首長の「チーム沖縄」メンバーを減らしたことや、分裂で保守内にできたしこりが今後の大型選挙を戦う上での不安要素となりそうだ。来年の国政選挙に向け、自民が公明、維新と改めて協力態勢を構築できるかが注目される。(政経部・大野亨恭)