「工藤政務官、集会収入すべて不記載 識者「最悪ケース」」

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 以下、朝日新聞デジタル版(2018年10月15日05時05分)から。

 工藤彰三・国土交通政務官(自民、衆院愛知4区)が代表を務める政治団体が、支援者らから会費を集めた百人単位の「集会」を開きながら、その収入を政治資金収支報告書に一切記載していなかったことがわかった。不記載が判明したのは2013〜15年に開いた計5回分。政治資金の記載漏れなどが明らかになるケースはあるが、政治団体による有料の催し物の収支がまったく書かれていないことが発覚するのは異例だ。

 政治資金規正法は、政治活動の透明性を高めることを目的に、政治団体のすべての収入の記載を義務づけており、識者は「法の趣旨からして最悪のケースだ」と指摘している。工藤氏の事務所は「いずれも政治資金パーティーではなく、実費の集会」としているが、朝日新聞の取材後に記載の必要性を認め、収支報告書を訂正した。

 工藤氏のホームページや事務所の説明によると、工藤氏が代表の政治団体「彰友会(しょうゆうかい)」は14年に2回、15年に1回、名古屋市のホテルで「総会」や「国政報告会」を開いた。

 彰友会の会長は、東海・関東地区で20の医療機関を展開する医療法人「偕行会(かいこうかい)」グループ(本部・名古屋市)の会長で、彰友会の内部資料などによると、同グループの総務部の担当者が15年の国政報告会の出席を取引先に依頼した。呼びかけた取引先は少なくとも60社を超え、会費は2万円で、約100人が参加したと記録されている。

 しかし、彰友会が愛知県選挙管理委員会に提出した収支報告書は、16年まで4年連続で、収入、支出とも0円となっていた。総会や国政報告会の形跡は一切なかった。

 また、工藤氏のホームページによると、工藤氏が代表の自民党愛知県第4選挙区支部も13年と14年に各1回、「支部総会 工藤彰三を励ます会」を開催。13年は会費2千円で600人以上が参加し、14年は約800人が参加したという。しかし、同支部の13年と14年の収支報告書には支部総会の収入は一切記載されていなかった。15年と16年の収支報告書には、支部総会の収入がそれぞれ約180万円記載されていた。

 朝日新聞は4月以降、複数回にわたって工藤氏側に取材。工藤氏の事務所は3回目の回答となった今月9日、「収支報告書の作成担当の元秘書に確認したところ、いずれも会費を徴収した集会であり、収支トントンの事業であったことから、収支報告書に記載する必要がないと考え、記載しなかった」とし、9月に報告書を訂正したことを明らかにした。同法では収支の差額が0円でも記載しなければならない。

 訂正した収支報告書を確認したところ、彰友会の14年分に、収入、支出ともまったく同額の108万566円を新たに記載。15年分には収入190万円、支出162万8028円を記載していた。自民党愛知県4区支部については「収支を確認し次第修正する」としている。

 工藤氏は名古屋市議を2期務め、12年の衆院選で初当選。現在3期目で53歳。今月の第4次安倍改造内閣の発足で国交政務官になった。(沢伸也、竹井周平)

制度への挑戦で、最悪のケース

 政治資金に詳しい岩井奉信・日本大教授(政治学)の話 大規模の有料の催し物を開きながら収支を一切書かないというのは、政治資金を公開させて国民が監視するという制度への挑戦で、最悪のケース。聞いたことがなく、国民をバカにしている。