米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設計画をめぐり、名護市辺野古沿岸部の埋め立ての是非を問う県民投票が24日、投開票され、「反対」が多数を占めた。玉城デニー氏が昨年9月の知事選で得た過去最多の39万6632票を超える可能性がある。「埋め立て反対」の県民の強い民意が示され、移設工事を強行してきた安倍政権の対応が問われることになる。投票率は50%を超えた。
沖縄県民がワンイシュー(一つの論点)で「辺野古ノー」の民意を示したのは初めて。結果に法的拘束力はないが、反対票が投票資格者総数(115万3591人)の4分の1(28万8398票)を超える見通しであることから、県民投票条例の規定により、玉城氏は安倍晋三首相とトランプ米大統領に結果を通知する。
県民投票は「賛成」「反対」「どちらでもない」の3択で、一つを選んで投票用紙の欄に「○(まる)」を書き入れる方式で実施された。午後10時15分時点(推計開票率35・44%)で、「反対」は71・69%、「賛成」は18・47%、「どちらでもない」が9・84%となっている。
玉城氏は、今回の結果を後ろ盾として、辺野古移設を強行する安倍政権に工事中止を迫る考え。3月1日に首相官邸と米大使館を訪れ、結果を伝える予定にしている。
沖縄では2014年の知事選で、辺野古移設反対を訴えた翁長雄志氏が当選。だが、安倍政権は移設工事を推し進めた。これに対し、若者らが署名を集めて直接請求。玉城氏の知事選当選後に、県議会で条例が成立して県民投票が実現した。都道府県単位の住民投票は、米軍基地の整理・縮小と日米地位協定の見直しをテーマにした1996年の沖縄県民投票以来23年ぶりとなった。
政府は県民投票の結果を受けても、移設工事を中断する考えはない。菅義偉官房長官は記者会見で「問題の原点は普天間飛行場の危険除去と返還だ。粘り強く工事を進めていくという考えに変わりはない」と明言している。
沖縄知事選に続き、「民意無視」の批判を受けるのは確実で、衆院補選や参院選で続く審判への影響は必至だ。埋め立て区域で、軟弱地盤の改良が必要となった工事も長期化する見通し。政府が辺野古移設の「原点」とする普天間飛行場の返還時期も見通せない。