「疑問や当惑、専門家「脅しだ」 日米安保「不公平」発言」

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以下、朝日新聞デジタル版(2019年6月30日10時0分)から。

 日米安保条約は変えるべきだ――。トランプ米大統領の29日の発言に、米軍基地周辺の住民や平和運動に取り組む人たちの間には、疑問や当惑が広がった。専門家は「トランプ流の脅し」「改定はあり得ない」と冷静に受け止めている。

 米軍基地がある青森県三沢市。50代の自営業男性は今回の発言について「基地従業員の給与などを含め、日本は駐留経費のかなりの部分を負担しているはず。そのあたりをきちんと知った上での発言だろうか」。4月には米ロッキード・マーチン社製で航空自衛隊三沢基地所属の戦闘機F35Aが、青森県沖で墜落する事故があった。男性は「日米安保はどこまでが必要で、どこからが必要ないのかなど、国民に隠さずに一度オープンな話し合いをするべきだ。その方が、次の世代にもわかりやすい」と話した。

 極東最大級の米空軍の拠点である米軍嘉手納基地(沖縄県嘉手納町など)。米軍機の騒音に苦しめられ、第3次嘉手納基地爆音差し止め訴訟には、約2万2千人もの周辺住民が原告に加わっている。原告団の平良真知事務局長は「日本が攻撃されたとして、米軍がすぐ反撃するとは思えない。あくまで米国の国益にかなうかどうかの判断でしか動かないだろう」と話す。そのうえで「大統領は米国の利益のために基地・安保問題を道具に使っている。これからまた『F35やオスプレイをもっと買え』『もっと金を負担しろ』と言ってくるのではないか。まともに受け止めること自体がばかげている」と語った。

 国際交流NGO「ピースボート」共同代表の川崎哲さん(50)も、今回の発言が日米安保改定につながるとは思わないという。「米国が攻撃を受けた時、無条件で自衛隊を海外に送るには、確実に憲法を改正する必要がある。そのハードルは非常に高く、非現実的だ」とみる。トランプ氏は、日米安保が不公平だと日本政府に伝えたと話しているが、日本政府は否定している。双方の食い違いについて川崎さんは「日本政府は内心焦っているのだろうが、嵐が過ぎるのを待っているのでは」と述べた。

 日本原水爆被害者団体協議会日本被団協)代表委員の田中熙巳(てるみ)さん(87)は「結局、米国が守ってくれないと何もできないのが今の日本だ。『不公平だ』と言われたら、日本政府は『では沖縄の基地を返してほしい』と言えばいい。そう言い返せないところが良くない」と話す。

(後略)