以下、朝日新聞デジタル版(2019年8月22日19時6分)から。
韓国大統領府は22日、関係閣僚らが出席する国家安全保障会議(NSC)を開き、日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA(ジーソミア))を破棄することを決め、文在寅(ムンジェイン)大統領に報告した。協定の延長は「韓国の国益に合わない」と判断した。北朝鮮などの脅威を前に、日米韓の協力を軸としてきた安全保障体制が大きく揺らぐだけでなく、元徴用工問題や輸出規制問題で対立する日韓関係がさらに悪化するのは避けられない情勢だ。
協定の有効期限は1年で2016年に締結されて以来、毎年自動延長されてきたが、日韓関係の悪化のなか判断が注目されていた。終了を通報する期限が24日に迫っており、韓国政府は近く外交ルートを通じて日本政府に伝える。
決定を受けて記者発表した大統領府の金有根・国家安保室第1次長は、韓国がGSOMIAの破棄に踏み切った理由について、日本政府が2日、輸出手続きを簡略化できる輸出優遇対象国から韓国を除外した際、日韓間に安保上の問題が生じたためだとしたことを指摘。このことが「両国間の安保協力環境に重大な変化を招いたと評価した」とし、「このような状況で、安保上の敏感な軍事情報の交換のために結んだ協定を維持することは国益に合わないと判断した」と語った。
別の韓国大統領府の関係者は、文氏が日本の植民地支配からの解放を記念する「光復節」の演説で対話を呼びかけたのに対し、「21日の韓日外相会談に至るまで日本側から何の態度の変化もなかった」ことも判断の理由に挙げた。
(後略)
(ソウル=神谷毅、武田肇)