以下、朝日新聞デジタル版(2019/11/1 7:35)から。
政府は2020年度から始まる大学入学共通テストで活用される英語の民間試験の実施を見送る方針を固めた。受験生の住む地域や、家庭の経済状況によって格差が生じるといった不安が広がり、政府・与党からも「政策的な欠陥がある」などといった懸念の声が上がっていた。
英語の民間試験活用をめぐっては、萩生田光一文部科学相が10月24日、BSフジの番組で、「自分の身の丈に合わせて頑張ってもらえば」などと発言。教育格差を容認しているなどと批判が集中し、謝罪、撤回に追い込まれた。
こうした中、制度の問題点も改めて注目された。野党側は国会審議で繰り返し延期を要求。自民党参院幹部は30日、記者団に「受験生があまりにかわいそうだ。制度の問題点を補完するには準備の時間が足りなすぎる」と指摘。官邸内からも「延期したらいい」(幹部)との声が漏れていた。
20年度に実施される現在の高校2年生が受験する入試から、大学入試センター試験に代わり大学入学共通テストが始まる。英語は民間試験の活用で、「読む・聞く・話す・書く」の4技能を評価。特に「話す」試験について、一斉に数十万人が受験したり短時間に採点をしたりすることが難しいため、センターが認定する7種類の試験が活用される。
民間試験は、原則として受験生が高校3年の4~12月に受けた2回までの成績が、国のシステムを通じて出願先の大学に提供され、合否判定などに活用される。ただ、受験生の住む地域や家庭の経済状況などによって、受験機会に格差が生じる可能性などが指摘され、文科省は試験の実施団体に住民税非課税世帯の受験生の受験料減免を求めたり、離島の受験生が会場と行き来する交通費や宿泊費の一部を補助する支援策を、来年度予算の概算要求に盛り込んだりしていた。