以下、朝日新聞デジタル版(2020/2/10 20:20)から。
東京高検検事長の定年延長問題で、法務省が延長の根拠とした国家公務員法の定年制の規定について、政府が39年前の国会で、検察官には「適用されない」と答弁していたことが10日、明らかになった。野党は安倍政権の対応と過去の答弁との食い違いをもとに「違法だ」と批判したが、森雅子法相は「規定は適用される」と繰り返した。
政府は先月31日、63歳の誕生日前日の2月7日に退官予定だったという黒川弘務検事長の定年の半年延長を閣議決定した。これにより、政権に近いとされる黒川氏の検察トップの検事総長就任の可能性が残った。根拠は国家公務員法の定年延長の規定。検察庁法は検察官の定年を「63歳」と明記しているため、野党は違法と指摘していた。
衆院予算委員会でこの日質問に立った立憲民主党の山尾志桜里氏は、定年や定年延長を導入する国家公務員法改正案が審議された1981年の衆院内閣委員会での政府答弁を紹介。議事録によると、当時から定年制があった検察官や大学教員にも適用されるか問われた人事院任用局長(当時)が、「今回の法案では、別に法律で定められている者を除くことになっている。定年制は適用されない」と答弁していた。
山尾氏はこの答弁に基づき、森氏に「人事が法的根拠を持つのか再確認してほしい」と求めたうえで、「違法だ」と迫った。
森氏は「議事録の詳細は知らない」と答える一方で、「人事院の解釈ではなく、検察庁法の解釈の問題である」として、法務省の解釈の正当性を強調。「国家公務員法の規定が適用されるものと解している」と、従来通りの答えに終始した。
山尾氏は「当時の立法者意思を確認しないで『私はそう理解している』では、国民には伝わらない」と述べ、政府としての統一見解を出すよう求めたが、森氏は自らの答弁が「統一見解だ」として応じなかった。(三輪さち子)