「陸上イージス、秋田・新屋演習場断念 県内軸に再検討へ」

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 以下、朝日新聞デジタル版(2020年5月7日 11時42分)から。

陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」について、政府は陸上自衛隊新屋演習場(秋田市)への配備を断念する方針を固めた。ずさんな調査など防衛省の不手際が続いたことで、地元の理解を得るのは困難と判断した。新たな候補地は秋田県内を軸に検討する。
 複数の政府関係者が明らかにした。東北地方の配備先を改めて検討するため、5月末までの期限で行っている再調査の結果を踏まえ、正式決定する。政府は早ければ2025年度の運用開始をめざすが、配備先の決定が遅れればずれ込む可能性がある。
 政府は北朝鮮情勢が緊迫していた17年末、イージス・アショアの導入を決めた。昨年5月には新屋演習場と陸自むつみ演習場(山口県萩市)を適地とする報告書をまとめたが、新屋周辺のデータに多くの誤りが発覚。デジタル地球儀「グーグルアース」を誤用するなどずさんな調査実態も判明して、地元住民らの反発を招き、秋田県佐竹敬久知事は新屋への配備に難色を示していた。
 これを受け、防衛省は昨年10月から、新屋演習場に加え、代替地となり得る秋田、青森、山形3県の国有地19カ所で外部業者による再調査を実施。菅義偉官房長官は新屋演習場が住宅地から近いことを念頭に、「住宅地との距離」を考慮して評価するよう指示した。河野太郎防衛相も今年1月末に佐竹氏と面会した際、「本当の意味でのゼロベースでしっかり検討する」としていた。
 防衛省は再調査を昨年度中に終える予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響などで2度にわたり期間を延長。河野氏は4月中に秋田県を就任以来初めて訪問し、新屋演習場を視察する方針だったが、それも延期となった。(寺本大蔵)