以下、朝日新聞デジタル版(2020年6月28日 18時16分)から。
米東部ニュージャージー州の有名校、プリンストン大は27日、ウッドロー・ウィルソン元大統領の名前について、研究機関や建物に使うことをやめると発表した。ウィルソン氏の人種差別的な考え方や政策を改めて精査し、問題だったと結論づけたという。
ウィルソン氏は1902~10年に同大の学長を務めた際、黒人学生の入学を認めなかった。13~21年の大統領就任時には、国際連盟の創設に尽力してノーベル平和賞を受賞した功績がある一方、人種隔離政策を支持し、連邦政府の職員も分離していた。
アイスグルーバー学長は同大関係者にあてた公開書簡で「ウィルソンは、米国に今日まで害を与え続けている根強い人種差別的慣行を容認しただけでなく、それに加担した」と批判した。
また、「米国は人種差別を軽視し、無視し、それに言い訳を与え、黒人を差別する制度を存続させてきた。プリンストンもその一部だった」と述べ、公共政策・国際関係論を学ぶ専門高等教育機関の「ウッドロー・ウィルソン・スクール」、学生寮「ウィルソンカレッジ」をともに改称するとした。
同大では5年前にも一部の学生から同様の要求が出されていたが、当時は退けられた。ただ、黒人のジョージ・フロイドさんが殺害された先月の事件以降、米国では歴代大統領の人種差別的な政策が見直され、銅像が壊されたり、撤去されたりしている。ウィルソン氏については同州のモンマス大も名を冠した建物の改称を表明しており、プリンストンの決定もこうした流れに沿ったものになった。(ニューヨーク=藤原学思)