「トランプ氏 国歌問題で「クビ」発言 NFL選手ら抗議」

 以下、毎日新聞(2017年9月25日 11時31分(最終更新 9月25日 13時10分))より。

 【ワシントン高本耕太】米プロフットボールNFLで、警察の人種差別などに抗議する意思表示として試合前の国歌斉唱の際、起立せず片膝をつく行動が急速に広がっている。こうした動きに敵意を示すトランプ大統領に対し、24日に各地で開かれた試合では、過去最多の150人超の選手が膝をつき、抗議した。

 発端は、相次ぐ警察官による黒人射殺や過剰暴力事案に抗議し、昨年8月にコリン・キャパニック選手(昨季までフォーティナイナーズ在籍)が始めた抗議行動。他のプロ競技や小学生の試合にまで広がり社会問題化した。表現の自由愛国心、プロアスリートの政治的行動の是非などさまざまな争点で、世論が分かれている。

 トランプ氏は今月22日、南部アラバマ州での演説で、キャパニック選手らを念頭に「国旗に敬意を示さない畜生は、クビにしろ」とののしった。その後もツイッターで「何百万ドルという収入を得ているプロ選手が、国旗や国に対して敬意を払わないことなど許されない」と主張した。

 24日の試合では、膝をつく選手が列になる一方、起立する選手やコーチ、オーナーらも抗議する選手と腕を組むなどして、トランプ氏の発言に結束して対抗する姿勢を示した。シーホークスタイタンズの試合では、国歌斉唱時に両チームがフィールドを離れ、国歌斉唱に参加しなかった。観客席からは歓声とブーイングの両方が上がった。

 昨季から国歌斉唱時に起立していないドルフィンズのマイケル・トーマス選手は試合後、「アフリカ系米国人として父親として、娘のために行動をしなければならなかった」と声を詰まらせた。選手とともに腕を組んだジャガーズのオーナーでパキスタン系米国人のカーン氏は「人種や主張の多様性を支持する姿勢を示したかった」と語った。

 また、米プロバスケットボールNBAの昨季王者ウォリアーズは23日、米4大プロスポーツ優勝チーム恒例のホワイトハウス訪問と大統領表敬を取りやめると発表した。トランプ氏の政治姿勢を公然と批判していたエースのカリー選手を、トランプ氏が「招待してやらない」とツイッターで表明したことを受けて、チームの総意として決定したという。