以下、朝日新聞デジタル版(2020/11/13 20:48)から。
新型コロナウイルスの国内の感染者数が13日、2日続けて1日あたりで過去最多を更新した。顕著なのは、感染者が少なかった地方でもクラスター(感染者集団)が広がっていることだ。病院や警察署、学校など身近な施設でも感染が相次ぎ、「潮目が変わった」との声もあがっている。
10月末までの累計感染者が184人だった新潟県では、今月に入ってすでに41人(13日午後7時時点)が確認された。最大の要因は、県警南魚沼署(南魚沼市)で9日以降に分かった署員17人の感染だ。
同署は11日夜から交番勤務を含む約90人全員が自宅待機となる異例の事態に。県警は窮余の策として本部から約20人ずつを24時間交代で派遣。署は来庁者を立ち入り禁止とし、入り口脇にとめたマイクロバス内で窓口業務や相談に応じている。
同市内は8日に告示された市長選の最中だが、感染拡大を受け、候補者が街頭演説を取りやめるなどの影響も出ている。
これまでの県の調査で、のどの痛みなどの症状が出てから検査まで7日かかった署員や、マスクを外して勤務した署員がいたことが分かっている。近藤正彦警備部長は13日、「県民に安全安心を提供する警察署でこうした事態を発生させてしまい、指導不足だったのかと反省している」と話した。
山梨県では12日までの1週間で50人が感染し、その前の1週間(13人)の4倍近くまで急増した。高校で同じ部活などの生徒6人が感染したほか、新型コロナ対策の中心を担い、大型クルーズ船を含め60人超の入院患者を受け入れてきた県立中央病院で医師4人を含む職員5人が集団感染した。
うち4人は今月上旬、感染防止策にお墨付きを与える県の認証がない居酒屋で約4時間会食した。13日、知事の臨時会見に同席した平賀幸弘院長は「『Go To イート』開始までは、毎日のように放送で複数による会食はしないように呼びかけていた」と話し、改めて自粛を周知したと説明した。
7月28日まで全国で唯一、「感染者ゼロ」だった岩手県。10月末で累計27人だった感染者は、今月だけですでに30人(13日午後7時時点)に達した。消防署や居酒屋などでクラスターが発生しており、県の担当者は「潮目が変わった」。感染経路が追えない人も増えているという。
国の観光支援策「Go To トラベル」などで回復傾向にあった県内の観光業にも影響が出始めた。県内有数の温泉郷、西和賀町にある高級温泉旅館「ふる里」は9月以降、全館満室が続いていたが、キャンセルが出始めた。集客は「Go To」頼みの部分もあり、菊池薫・副支配人は「打ち切りとなれば、宿泊客が極端に減ってしまうかもしれない」と不安がる。(杉山歩、吉沢龍彦、溝口太郎)
滋賀は大学が、福井は高校がクラスターに
滋賀県では、11月4日から13日までの10日間で86人の感染が確認された。3日までの10日間では23人。3倍以上に増えた。(後略)
(杉山歩、吉沢龍彦、溝口太郎 鈴木洋和、平野尚紀)