以下、朝日新聞デジタル版(2020/12/2 21:09)から。
自民党の吉川貴盛・元農林水産相(70)が大臣在任中に鶏卵生産・販売大手側から500万円を受け取ったとされる疑惑をめぐり、吉川氏は2日、事務所を通じてコメントを出し、党の役職を辞任することを明らかにした。ただ、疑惑についての説明はなく、野党は追及を強める考えだ。
コメントによると、吉川氏は先週不整脈を起こして現在は入院中という。「国会審議と党務の運営にご迷惑をおかけしたくない」との理由で、党の選挙対策委員長代行などの役職を辞職する考えを二階俊博幹事長に伝えた。所属する二階派の事務総長も辞任した。
吉川氏は菅義偉首相の初当選同期で、総裁選では推薦人に名を連ね、菅氏陣営の選挙対策本部の事務局長を務めるなど菅政権の誕生に尽力した。その後の党人事では、選対委員会のナンバー2にあたる新設ポストの委員長代行に就任した。
加藤勝信官房長官は2日の記者会見で「政治家は自らの行動についてしっかり説明責任を果たしていくことが求められる」と指摘。「捜査活動に関係する事柄であり、政府としてはコメントは差し控えたい」と述べるにとどめた。
菅政権への影響について、ある官邸幹部は「一議員の話。国会の場でどうこうというものではない」との見方を示すが、野党は追及を強める構えだ。
立憲民主党の安住淳・国会対策委員長は2日、「現職の大臣当時に利益誘導があれば、大変大きな問題。長期政権であぐらをかき、おごっていることが出てきた」と話した。
今回の鶏卵生産・販売会社は、衆院議員・河井克行被告(57)と妻の参院議員・案里被告(47)が逮捕された2019年の参院選広島選挙区を巡る買収事件の関連先として、東京地検特捜部が家宅捜索していた。安住氏は「河井事件に合わせた形で追及をしていきたい」と述べ、週明けにも追及チームを立ち上げる考えを示した。
共産党の穀田恵二国対委員長は「私物化政治の極み。自民党政治のゆがみだとはっきりさせないとダメだ」と批判した。(野平悠一、小泉浩樹)