「大阪モデル「赤信号」が点灯 時短営業や外出自粛要請へ」

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以下、朝日新聞デジタル版(2020/12/3 21:36)から。

大阪モデルで当初定めていた方針と今回決めた対応
 大阪府は3日、新型コロナウイルスの感染状況について、独自基準「大阪モデル」で非常事態を示す「赤信号」を初めて点灯させた。重症病床の使用率が指標の70%以上になる見通しがあり、吉村洋文知事は「医療非常事態」と宣言した。大阪市中心部の居酒屋などに対する時短営業要請を延長することを決めたが、強い規制は見送った。

 対策本部会議で決めた。午後9時までの時短営業要請は、市内の北区と中央区の酒を提供する飲食店などが対象。当初は11日までの予定だったが、政府の観光支援策「Go To トラベル」の自粛要請期間と合わせて、15日まで延ばす。府民には同日までの「できるかぎりの不要不急の外出自粛」を呼びかけた。いずれも特別措置法24条9項に基づく協力要請で、強制力はない。

 赤信号は、「重症病床使用率70%以上」を基準に設定した。3日公表時点の重症者は136人で、確保できている206床に対する使用率は66・0%。基準に達していないが、吉村知事は「70%に達するのは、ほぼ間違いない」と判断した。すぐに患者を受け入れられる病床164床に限れば、82・9%となっていることへの危機感もある。

 人口10万人あたりの新規感染者は29・01人(2日までの1週間の合計)で全国で最多。高齢者施設でクラスター(感染者集団)が相次ぎ、60代以上の感染者数は前回の感染拡大のピーク時と比べて増加している。

 赤信号になった場合の対応として府は当初、「クラスター発生施設や疑いのある施設のうち、感染拡大防止に必要と考えられる施設への外出自粛」や「小中学校などでの分散登校や短縮授業」などを想定していた。4月の緊急事態宣言時のような強い規制も行わない。

 吉村知事は「社会経済も非常に重要だ」と繰り返しており、経済への悪影響を避けるためだ。新規感染者について府は「伸び率は明らかに鈍化している」とも分析している。一方、重症患者のピークは新規感染者数のピークから15日程度遅れる傾向があるため、今後新規感染者数が落ち着いたとしても、重症病床の使用率は上がる可能性があると指摘している。

 府専門家会議の座長を務める大阪大大学院の朝野(ともの)和典教授からは「クラスターは学校でも起こっているが、若年者は重症化することが極めてまれ。教育の機会を保障するため現行の教育体制の続行は妥当」などの意見が出た。(久保田侑暉)