'Once Were Brothers Robbie Robertson And The Band'を観てきた

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DVD Once Were Brothers

個人的な話になるが、いわゆる断捨離中でこれまで集めたもろもろの音源を現在少なくしているところで、いまはレコードを処分しているところだ。
Neil YoungとRandy Newmanは確実に一番最後で、Bob DylanとThe Bandがそれに続く。これらは最後までしぶとく残る可能性大。
そのThe Band。
映画 'Once Were Brothers Robbie Robertson And The Band'が劇場にかかっているので、コロナ禍ではあるが*1、観てきた*2

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Once Were Brothers

これは力作。涙なしに観ることはできない。
いわゆる音楽活動のバンドは人間で構成される集団だ。だからまさにナマ物である。
Robbie Robertsonのモノローグで多くが語られる本作。すでにRichard Manuel、Rick Danko、そしてLevon Helmの3人はこの世にいない。彼らが存命であればこの映画はなかったろう。"Once were Brothers"(「かつて僕らは兄弟だった」)というタイトルの過去形と'Once were brothers Brothers no more'という歌詞がそのことを物語っている。これはロビーが5年かけて書いた自伝を元にしているロビー・ロバートソンの切り口なのだ*3。もはや叶わぬことだが、できれば5人揃ったThe Bandとして、また見たかった。
バンド内で唯一合州国出身のLevon Helm。そしてLevonはアーカンソー州出身の南部人だ。他はカナダ出身。アメリカ文化とアメリカ音楽に対する敬愛を土台にとして、そこにThe Bandの持つ視点とアメリカ文化性が開花したように感じる。
映画の最後で使われた'The Night They Drove Old Dixie Down'*4と'Ophelia'*5は、Robbie Robertsonが後年確執が生じて不仲となったLevon Helmに捧げたものにちがいない*6

'Why do the best things always disappear
Like Ophelia Yeah baby, come back home' (「オフィーリアみたいに なぜ最善のものはいつもなくなってしまうのだろう そう、オフィーリア、戻ってきておくれ」)が耳に残った。

あの時代に当時のThe Bandを味わうことができてつくづく良かった。

ところで、モノに囲まれていると、モノを持つことにかまけて、感覚は鈍くなってくるようだ。 モノを少なくしていくと、感覚も研ぎ澄まされてくる気がする。断捨離が必要な所以だ。
と書いてきて、久しぶりにタワーレコードに寄ってみたら、The Bandのアルバムはもちろんのこと、Bob Dylanの'Man On the Street Volume Two'も並んでいた。これには映画でも登場した1974年の'Before the Flood'(「偉大なる復活」)の頃の音源も入っている。CD10枚組で2739円。いま断捨離中というのに値段に魅せられて買ってしまった!

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Man On the Street Volume Two

*1:コロナ禍にあって、観劇・映画鑑賞は避けこれまで皆無。友人との飲食も皆無。なるべく外食も避けてきた。ミニシアターで日中の観劇なら混雑を避けられるかと思い出かけたのだが、これが結構混んでいて驚いた。DVDがすでに発売されていることは観賞後に知った。

*2:たとえばメディアによる映画紹介のひとつを以下のYouTubeで見ることができる。PBSによる映画紹介。ディレクター・プロドューサーのDaniel Roherの話が聞ける。Robbie Robertson on building The Band - YouTube

*3:映画の副題Robbie Robertson And The Bandがそう言っている。

*4:この演奏は、映画'The Last Waltz'でのLevonの素晴らしい演奏が使われている。'The Night They Drove Old Dixie Down'は南北戦争を背景にした唄で、南部人のLevon HelmのためにRobbie Robertsonが書いた名曲。

*5:アルバム'Northern Lights-Southern Cross'に収録。'Last Waltz'でのLevonの熱唱と熱演は必見。Shakespeare劇の'Hamlet'を持ち出すまでもなく、Opheliaは女性名。

*6:この点についてブックマークをいただき、納得できるとのコメントをいただいた。The Bandの曲作りについてソングライターのロビー・ロバートソンはThe Bandのメンバーの具体的なヴォーカリストを思い浮かべて唄をつくっていると、つまり演劇で言うところの役者を思い浮かべて話を書く「あて書き」のようなことを映画の中で語っていたけれど、'The Night They Drove Old Dixie Down'と'Ophelia'はヴォーカリスト・リーヴォンの持ち唄であること。ロビーとリーヴォンの間に確執があったこと。そうした確執から、男女という性別は別にして、「オフィーリア」という女性との別れの歌詞から、リーヴォンとの別れを連想させること。その「オフィーリア」を映画の最後に持ってきたこと。以上のことからロビーによるリーヴォンへのオマージュであると判断した。