「地方の感染急増 「またどーんと」解除目安に知事が異論」

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以下、朝日新聞デジタル版(2021/1/15 5:00)から。

 新型コロナウイルスの感染状況や医療提供体制への負荷を示すとされる政府分科会の指標は、緊急事態宣言の対象外の地方でも感染者が急増する実態を浮き彫りにした。大都市周辺では医療現場が切迫し、独自に宣言を出す県も相次ぐ。国と地方で指標の解釈にずれがあったとの指摘も出ている。

長野は非常事態宣言
 「オーバーフローが続いている。一般の医療にも影響が出始めている」

 14日、長野県と県医師会と合同で記者会見した松本市立病院の中村雅彦院長は、緊迫する医療現場の状況をこう説明した。

 同病院では現在、コロナ感染者用に25床を用意しているが、感染疑いも含め26人の患者を受け入れている。トイレ・シャワー室にベッドを置いて対応している。入院患者の半数は高齢者で、食事や排泄(はいせつ)の介護も必要だ。コロナの病床を増やすため、緊急性のない手術や検診は休止せざるをえない状況だという。

 長野県は14日、確保病床の使用率が連日50%を超えていることから、「医療非常事態宣言」を全県に発出した。宣言は県独自の指標で、高齢者らの外出や、大人数で長時間にわたる会食などを控えるよう求める。

 県内では昨年12月以降、四つの医療機関で集団感染が発生し、松本市の基幹病院の相沢病院では救命救急センターの職員5人が相次いで感染した。佐久市松本市とその周辺の医療圏域では、病床がいっぱいで受け入れられない状況が続く。広域での入院調整も難しく、入院が必要と判断された人も2日ほど待機する例も出てきた。

 ただ、緊急事態宣言の発令は求めない方針だ。今の対策の効果を見極め、感染者が減少しなければ検討するとしている。阿部守一知事は「医療は深刻な状況になりつつある。このままでは救える命が救えなくなる」と危機感を強める。

(後略)

(田中奏子、鈴木洋和、神崎卓征 伊藤秀樹、大滝哲彰 姫野直行、松浦祐子)