Byrds が歌う Neil Young の"See the Sky About To Rain"

Byrds (1973)

 再結成バーズの演奏による、アルバム"Byrds" (1973)*1ジョニ・ミッチェルの"For Free" "Laughing" ニール・ヤングの"Cowgirl in the Sand" "See the Sky About To Rain"などが収録されている。このレコード盤を聞く。

 "Changing Heart"がわかりにくい*2

 表面的な意味では英語の歌詞の理解が楽になってはいるが、深い意味では、たとえば、ByrdsがNeil Young をカバーした"See the Sky About To Rain"の以下の箇所がわからない。

I was down in dixie land, played a silver fiddle
Played it loud and then the man broke it down the middle.
See the sky about to rain

 この雨が降りそうな空という寂しい世界は誰の心象風景なのか。おそらくそれはNeil Young 彼自身なのだろうが、よくわからない。

 南部(dixie land)で、銀のフィドル(a silver fiddle)を自己肯定感をもって演奏した(played it loud)のに、それを真っ二つにぶち壊したのは誰なのか*3、そこの大切なメッセージがわからない。唄はむずかしい。

*1:Robert Christgau の評価は、C+。コメントの概略を煎じ詰めると、再結成の意義がわからないが、よいところもあると厳しく評価している。

*2:"Changing Heart"は、ミュージシャンとして名声を得ていても、心の底から自分の気持ちを歌ったとしても、聴衆に受け止めてもらえない、あるいは合わせなければならないといったミュージシャンの葛藤を表現しているのだろう。

*3:アルバム"On the Beach"(1974)収録の"See the Sky About To Rain"。「銀のフィドル」はもちろん比喩的表現で、70年代に大成功をおさめた Neil Young の音楽表現を象徴し、それを「真っ二つにぶち壊した」のは、Southern Man のような南部人という文脈ではなく、音楽産業のおエライさんたちや当時の壊れつつある社会ではないかという解釈がある。