Strandで”Gallipoli”,”The Deer Hunter”を観た

 今日、Strandで”Gallipoli”*1 *2,”The Deer Hunter”*3を観た。

 後者は知っての通り、反ベトナムの映画でその描き方といえば、ひどいもの。6年前まで、実際に戦争をしていた国、アメリカ合州国。家族の中で、実際にベトナムに行った人も多いだろう。そう考えると、人事のように、評論家的立場で、この映画はこういう性格のものと色分けするだけでは足りない、何か足りないと思うようになった。
 この映画、実際反動的なもので、どこが反動的か、ディベートをして、その論理性を展開できる自信はあるが、アメリカ人を十分説得する自信はない。ディベートをして、負けはしないが、勝ちもしない。そんな予想をすると、実際俺はどうしようもなく日本人で、都会で育ち、ほんの少し進歩的な物の見方をする人間でしかないと思えてしまう。アメリカ人の物の見方・考え方とはまるで違う。俺の片方の眼は、アメリカ人ならどう見るかと、ますますクールになって、日本人の見方とアメリカ人の見方とが、俺の中で葛藤し始めた感じだ。「ディアハンター」、あああれは、こういう映画だと簡単に片づけていた日本人ではなくなり、物を突き放して見ることができる批判的・相対的・客観的思考のめざめが生まれ始めた。けれども、これは苦痛でもある。アメリカ人と一緒にいて、何か喋らざるをえないとき、俺は自分のアイデンティティに苦しみもがく。これは批判的目覚めというべきものであって、まだまだ本物ではないからだ。

*1:http://www.imdb.com/title/tt0082432/?ref_=nv_sr_1

*2:"Gallipoli"は、オーストラリア人・ニュージーランド人にとって、たいへん重要なガリポリを扱った映画だが、当時私の英語力や知識が及ばず、コメントできていない。

*3:http://www.imdb.com/title/tt0077416/?ref_=nv_sr_1