結婚式の写真を、避難住民がイカダで取りに戻るとは泣かせる

 インフレーターで膨らませて使うイカダをエジキムの住民が購入できたので、そのイカダを使ってなんとか自分達の家にたどり着き、結婚式のときの写真を取り戻すことができたという話をニュースとして報じている。
 「テレビなどの品物じゃなくて、結婚式の時の写真とか、大切なものをいくつか取り出しておきたいのです」( ”We want to be able to save some valuables---not TVs, but wedding photos and things like that”)、「レンガやモルタルは取りかえがきくけど、大切な思い出は、取りかえがきかないからね」("You can replace bricks and mortar, but you can’t replace memories.")とは、まことに泣かせる台詞ではないか。
 たかが写真、されど写真なのである。
 私がお世話になっているこのアレックスやジュディの家もそうだが、彼らの居間には、家族の写真や結婚式のときの写真が飾ってあるのが普通だ。アイリッシュなら、玄関わきに家系図まで貼ってあるだろう。
 ワイカトタイムズの一面トップに、エジキムに住むある夫妻が腰まで水に漬かりながら避難している写真が掲載され、その奥さんによる”We had to start over after the ’87 quake, and now we’ll have to start again after this,”という発言が、記事として紹介されていた。このロビンソン夫妻は、1987年のエジキムの地震による被害で、一から出直しだったが、今また、今回の洪水で、またもや一から出直さないといけなくなってしまったというのだ。
 ”It’s bloody hard.”(「もう本当に、やりきれないわ」)という、彼らの心情は、まさに彼女のコトバどおりに違いない。