釣りを終えたわれわれは車の中で楽しく会話がはずんだ。
すでに帰ったエドワードやアンドリューが悔しがるだろうなとマイケルが言ったから、みんなで大笑いになった。
「魚を釣り上げた際のキャスティングは、どれくらいのキャスティングだった」とレイが聞くので、「多分15メーターくらいだと思うけど」と言うと、「ほらみろ、キャスティングの仕方や距離は関係ないんだよね」とレイが言った*1。
いつも講師のレイは我々に言っているのだが、フライを水の中に入れておけば、水の中では何が起こるかわからない。それから、教室でフライを作る際にこれもレイが言っていたのだが、荒くつくったフライでも間違いなく釣れると。
まさに今回の事実がこのことを証明してくれた。
私が、自分が作ったフライで自分のキャスティングで釣り上げたことについて、「とても嬉しい」と言ったら、マイケルも「自分も嬉しい」と言ってくれたから、一同大笑いになった。
マイケルは、とてもいい奴だ。
こうしてわれわれは車内で楽しく会話をしながら、釣り宿にたどり着いた。
レイに講師料の185ドルを渡す際に、私は大いにチップをはずんだ。
ビッグフィッシュを私がしとめたからではない。これは釣れても釣れなくても、昨日の夜釣りから考えていたことだ。
何度もお礼を言って、私は講師のレイと別れた。
*1:見かけはワイルドでも、多少コトバが紳士的な彼は、「下手くそな奴でも釣れるんだよね」とは、けっして言わなかった。