「反戦平和の手帖」を読んだ

「反戦平和の手帖」

 C・ダグラス・ラミス氏と喜納昌吉氏の「反戦平和の手帖 ―あなたしかできない新しいこと (集英社新書)」(集英社新書)を読んだ。
 この本は対談形式になっているのだが、私はとくにダグラス=ラミス氏の現在のイラク情勢のとらえ方*1、戦争の最前線で戦い続けると98パーセントの人間がノイローゼになるという話*2アメリカ人のダグラス=ラミス氏が日本国憲法を支持すればするほど、日本人の多くが支持しなくなってきたという皮肉、学問論*3とも言うべきカリフォルニア大学の日本研究ゼミ責任者であったロバート=スカラピーノ氏の仕事に対する評価の話、アメリカ合州国の歴史的好戦性の話、「新アメリカ世紀プロジェクト」の話、キリスト教的「愛」についての話などを面白く読んだ。
 元海兵隊員でもあるダグラス=ラミス氏は、元大学教授で、20年間津田塾大学で教鞭をとられたが、随所に見られる氏の学問論的な姿勢に垣間見られるように、一言でいうならば、ダグラス=ラミス氏の生き方と闘う姿勢を学ぶことができる。

*1:「米国が不正な戦争をやっていることを認める人は多くいるかもしれないが、米国が負ける戦争をやっているということを信じられる人は少ないだろう」とラミス氏は書いている。勝てない戦争という意味では、現在のイラク情勢がベトナム戦争の状況に似ていると私は思う。

*2:この対談の中でも紹介されているが、アレン=ネルソン氏の話を私は思い出した。

*3:学問論としては、ワシントン州リッチランドにあるハンフォード原子力施設のプルトニウム専門家の批判すべき生き方などが面白かった。