「自転車のある美しい暮らし」

「自転車のある美しい暮らし。」

 1990年にコンピュータを初めて購入し、いわゆるパソコン通信を開始してから海外と国内との通信漬けだった私は、1992年に合州国西部を自動車で旅行しながら、教育関係の通信相手たちに会いに行ったことがあった。
 そうした慣れないハイテク機器にはまり込んだ反動もあったのか、1994年にクロスバイクを購入してからは、自転車好きになった。
 90年代には、暇さえあれば自転車に乗っていたものだ。
 その頃、ダイビングの免許も取ったが、なにしろフィールドが遠い。自転車なら、玄関から出たら、もうそこはフィールドだ。仕事場に向う前、朝早く走っていたこともあった。早朝サイクリングは気持ちのいいものだ。
 自転車は、目的地到着までの経過そのものを楽しむものである。あるいは乗っていること自体を楽しむものだ。健康にもいいし、なんといっても自転車は美しい。
 クロスバイクを皮切りにロードレーサーや折りたたみ自転車も入手したけれど、今は、BD-3という折りたたみを主に、二台である。
 しかし、悲しいことに、それにも乗る時間がない。
 この五月の連休に、BD-3で東京にでも出かけようかと思ったけれど、それもかなわなかった。
 結局、雑誌「pen」の5月号「街を走る、風景が変わる、自転車のある美しい暮らし」を買って、美しい自転車を写真で眺めているだけで、連休も終わってしまった。
 ふたたび私にとっての「自転車のある美しい暮らし」は、いつの日のことか。