政治とカネの問題で、けじめがつけられない安倍首相

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 14日付の朝日新聞の社説で、安倍首相の政治とカネの問題が批判されている。
 そもそも5万円以下の領収書はいらないというのがおかしい。1円単位まで領収書をつけるというのが常識ではないのか。

政治とカネ―おかしいぞ、首相の理屈


 「光熱水費は月800円ですよ。月800円で辞任を要求するんですか」

 赤城農水相が、両親の住む実家を主な事務所とする後援会に、巨額の事務所経費を計上していた。不自然極まるこの経理処理を、安倍首相はどうしても「問題ない」と言い張りたいようだ。

 05年の政治資金収支報告書をめくってみると、光熱水費は9660円だ。確かに月にならせば805円だ。だが、だからといって、10年間で9045万円にものぼる支出がすべて「適正だった」と言われて納得する人はいまい。

 かつては光熱水費に百数十万円を計上した年もある。なのに最も安い年を取り上げて、すべてに問題がなかったと言いつのるのは強弁が過ぎないか。

 疑惑をもたれた以上、赤城氏は自ら領収書などを公開してきちんと説明すべきだ。野党などにそう追及されると、首相は「みんなが前もって決めたルールに従うべきだ」と切り返すのが常だ。

 政治資金規正法は、領収書の添付を求めていない。だからそれ以上、説明の義務はない。そう言いたいのだろう。

 だが、これもおかしな理屈だ。

 法律が定めているのは、だれもが守るべき最低限のルールだ。疑惑をもたれた政治家が、それ以上の説明責任を自主的に果たすのは何も妨げていない。

 まして赤城氏は閣僚である。6年前、当時の森内閣は「公職にある者としての清廉さを保持し、政治と行政への国民の信頼を確保する」という国務大臣規範を閣議決定した。普通の政治家以上の倫理観が求められると確認し合ったはずだ。

 先の通常国会で与党が通した改正政治資金規正法は、1件5万円以上の経常経費に領収書の添付を義務づけた。だが、その対象は資金管理団体だけで、赤城氏の後援会のような政治団体は対象外だ。

 この抜け穴に対する批判の高まりを意識してか、首相は最近、党の自主的な措置として資金管理団体にできるだけカネの流れを集中させる考えを示した。自民党で内規の改正が検討されている。

 改正法の不備を認めたのかと指摘されると、首相はこう開き直った。「法律を決めるというのは全体の合意で初めてできる。自民党だけではできない」

 おやおや、野党のせいで十分な法改正ができなかったと言いたいのだろうか。それは事実に反する。たとえば民主党はすべての政治団体に網をかけようと主張した。そんな修正要求を一顧だにせず、抜け穴だらけの改正案で突っ走ったのは自民、公明の与党ではないか。

 「政治とカネ」の問題できちんとした姿勢を示したいなら、首相はまず、赤城氏に領収書を示すなどして説明を尽くすよう指示することだ。そして堂々と規正法の再改正を約束することだろう。

 妙な「へ理屈」をこねても、政治への信頼が失われるばかりだ。公明党も党の内規で対応するつもりなのか。はっきりとした見解を示すべきだ。