おいしい食べ物は現地で食べるに限ります

台北の鼎泰豊の小龍包

 台湾は台北にある鼎泰豊(ティンタイフォン)は小龍包で有名なお店だ。
私も台北で本店以外の支店に二度ほど行ったことがある。台北市の鼎泰豊は何店かあり、本店以外の方がお薦めだと、先月に行ったとき台湾人ガイドが言っていた。
 台北の鼎泰豊は、味もとびきり美味しい。私は好きだ。
 この鼎泰豊の支店は日本にもある。
 その日本の支店のひとつに、今日、仕事が終わってから、寄ってみた。
 行列で待たされるかなと予想していたが、午後の遅い時間帯で、夕食時の前だからか、すんなりと入れた。
 ビールでも頼んで小龍包をハシゴでいくつか頼もうかとも思ったが、メニューにビールがない。まぁ今回は初回で、お試しということで、小龍包4つと、海老チャーハンというセットが1500円弱なので、これを頼むことにした。台北市の鼎泰豊のチャーハンが美味しかったことを思い出したからだ。
 店内は、若い女性客が多いような気がした。
 それで、肝心のお味だが、海老チャーハンはまずまずだったが、小龍包は、感動的な味わいがなかった。
これは何故かというと、点心というものは、ご存知のように蒸篭蒸しで出すものだから、本来は蒸篭をたくさん積み上げるものなのに、一つだけの蒸篭だけだからだろう。つまり、冷めてしまうのだ。
 それに今日は、一人で来て、蒸篭に4つの小籠包しかない。これは点心の食べ方としては情けない。点心の食べ方としては、しょぼい食べ方と言わざるをえない。
 やはり小龍包は、みんなで、たくさんの蒸篭を積み上げて食べないといけない。
 店内も活気がなければならない。
 そうでなければ、あつあつの小龍包が食べられない。
 前に「日本料理は日本で食べないといけません」と題して、日本の寿司屋のカウンターで食べる寿司と、海外のスーパーで売っている巻スシの大きな違いについて書いたことがあるけれど、美味しいからといって、グローバリズムのノリで拡張・拡大した場合、同じ味を期待してはいけない。
 日本は、今でこそ美味しいパン屋さんが増えたが、昔のパンはそれほど美味しいものではなかった。だから27年前にはじめて外国に出かけ、サンフランシスコで食べたフランスパンと赤ワイン。これは飛び切りうまかった。パンと赤ワインだけで、大満足。まさにノックアウトだった。例えていえば、日本の炊きたてご飯の美味しさに匹敵するものだった。
 伊勢の赤福の例を出すまでもなく、食べ物は、本来ローカルなものなのだ。パンなら、パンが本場のところで、炊きたてご飯なら、日本で食べないといけない。
 地元の繁盛店が二号店を出して、「あの店の味も落ちたね」というのは、よくある話。繁盛している店が拡大・拡張するのは、味が保持できないというリスクが伴うものなのだ。だから、ローカルに繁盛している店と、グローバリズムは似合わない。
 ということで、鼎泰豊の小龍包は、やはり台北の鼎泰豊で食べるに限るのというのが私の結論です。