名詞における「可算」と「不可算」

how English works

 副題にA Grammar Practice Book with Answers とあるMichael SwanとCatherine Walterによる”How English Works: A Grammar Practice Book”という問題集付きの文法書を買って暇つぶしに眺めている。

 たまたま、countable and uncountable nouns(「可算と不可算名詞」)という項目を見ていたら、「可算名詞」の定義で、”Countable nouns have plurals, and can be used with a/an.”とある。「可算名詞は、複数形があり、aやanを使うことができる」とある。当然といえば当然のことだ。
 "Dictionary of Language Teaching & Applied Linguistics (3rd Edition)" Jack C.Richards/John Platt/Heidi Platt(Longman)によれば、countable noun(「可算名詞」)とは、”a noun which has both singular and plural forms”(「単数形と複数形とどちらもある名詞」)と定義されていて、そのシンプルさに感心したことがある。
 Uncountable(「不可算」)の方は、”Uncountable nouns have no plurals, and cannot normally be used with a/an”とあり、「不可算名詞は複数形がなく、通常aやanと一緒には用いられない」ということだから、こちらも当然といえば当然のことだ。

 この質量名詞は、われわれ日本人にとって理解がむずかしいものの一つだろう。「宿題」と日本語で考えれば、何故数えられないのか理解する方がむずかしい。「数学の宿題と生物の宿題が2つ出ている」でいいではないかと考えるのが普通だ。ところが、これは日本語で考えているからそうなるので、このイギリス語のworkという単語で考えると、「なるほど、数えられないな」と認識するのだけれど、誓ってもいいが、ここに至るには相当の年数がかかる。
 難癖をつけさせてもらえるなら、これはイギリス語を母語とする人たちのご都合主義なのだ。彼らの見方を尊重しないわけではない。それはそれで立派な一つの見方である。しかし、それは、一つの見方でしかないことも事実である。つまり、その見方が唯一絶対ではないのだ。その辺を、イギリス語を話す人たちは自覚しているのだろうかというのが、まず私の言いたいことである。また、学習者も、countable, uncoutableというのは、単にひとつの見方であることを自覚したほうがいい。
 数にやたらとうるさいくせに、なぜ彼らは「羊」や「魚」を数えないのだろうか。何故「サムライ」を数えないのだろうか。

 "how English works"には、次のような例文が載っていた。(  )内は私が書いた解釈である。

 Paper is made from wood. (「材料」)
I need a piece of wood.(「不定形」)
The house was near woods.(複数形で「森」の意味)

Did you remember to buy coffee?(コーヒー豆か粉コーヒーの「材料」)
I’ll have a (cup of ) coffee, please.(「一杯のコーヒー」の意味)

There’s a chicken in the garden.(一羽の「にわとり」)

Do you want chicken or beef?(鶏肉という「材料」)


 問題は、”Some nouns can be used both uncountably and countably”ということだ。つまり、「いくつかの名詞は不可算的にも、可算的にも使われることがある」ということで、やはり名詞をどのようにとらえるか。名詞の底辺にあるモノの見方・考え方を理解しないといけない。だから、名詞における「可算」と「不可算」はわれわれにとって簡単とはいえないのだ。