新米英語教師の頃に多分リアルタイムで観た「浪花の恋の寅次郎」を再び観た。
マドンナは美人芸者ふみ役の松坂慶子さん。脇を、正司照枝・花江・芦屋雁之助・笑福亭松鶴・大村崑らが固める。
もともと関西・大阪が苦手の寅次郎が、美人芸者に惚れて惚れられ、大阪が好きになる。
寅の部屋にふみが訪ねる場面が秀逸。松鶴もいい味を出している。
とらやに寅が帰ってきたときに、寅が大阪弁を使う場面がおかしい。
家族団欒では、博が「きれいな人でしたか」と尋ね、さくらが「そんなにきれいなの」と聞くと、「抜けるような白い肌。それが嬉しい時なんか、パーっと桜色に染まるんだよ。悲しい時は透き通るような青白い色。黒いほつれ毛が二筋、三筋。黒い瞳に涙をいっぱいためて。寅さん、うち、あんたの膝で泣いてもええ⁉︎」と、寅さんのアリアが始まる。
とらやに帰ってきたとき寅が関西弁になっている場面をみた当時の俺は、この場面を観てチャップリンと寅さんとどちらがインターナショナルかと考え、コトバに依存してない無声映画のチャーリーチャップリンの方がよりインターナショナルだと考えた。そんなことを思い出す。渥美清の芸はコトバによる芸、ヴァーバルな芸なのだ*1。
松坂慶子さんの芸者役がとてもいい。
とらやに来たおふみさんが帰ったあとの雷雨の場面が美しい。
ロケ地は瀬戸内海と大阪。そして対馬。
瀬戸内海は、アロテアロア・ニュージーランドを思い起こさせてくれる。
1981年公開。第27作目。