私の好きな映画監督は、山田洋次、黒澤明、木下恵介である。
興味をもった順に監督の名前をあげてみた。
木下恵介は、生涯に49作品を監督した。
それら作品の多くが良質な作品だが(すべてを観ているわけではないが)中でも最も好きな作品は「二十四の瞳」である。
「二十四の瞳」は、ブルーリボン賞や外国映画のゴールデングローブ賞を受賞している。
1954年に黒澤明の傑作である「七人の侍」と国内の賞(キネマ旬報賞)を競って、「二十四の瞳」が1位に輝いた。
「七人の侍」は3位であった。
当時の人びとは、七人の侍よりも、高峰秀子が演じた優しい女性教師に共感したのだろう。おそらく静かな反戦映画を映画館で観て泣きたかったのだろう。
繰り返して言えば、12人の子どもをテーマにした映画が七人の侍をテーマにした映画に勝ったということだ。
「二十四の瞳」はかなり古い映画だが、古典のひとつであり、すばらしい映画である。
今日「はじまりのみち」という映画を観た。これは若いときの木下恵介をテーマにした映画だ。
たいへん地味な映画だったが、とても良い映画だった。
良い俳優というものは映画の中のキャラクターに自己同一できるものなのであろう。
加瀬亮(木下恵介)、田中裕子(その母)、ユースケ・サンタマリア(その兄)、濱田岳が好演していた*1。
とりわけ木下恵介役の加瀬亮に私は感銘を受け共感した。
たいへん素晴らしい映画だった。
*1:旅館「澤田屋」の4人家族もよかった。