劇中のてんぷくトリオ役は、我が家。
このてんぷくトリオ役はむずかしい。笑いをとるだけのほうが、よほど簡単だろう。劇中のコントは、井上ひさしさんが言うように、コントと劇が違うだけにむずかしい。
でも、俺は楽しめた。
井上ひさしさんの気持ちがよく伝わってきたからだ。
コントだけバラバラに披露するのかと思っていたら、コントをつなぐ、つなぎがうまかった。
脚本・監修は、ラサール石井。
その意味で、構成がよかった。
井上ひさし役は山西惇さん。井上麻矢さん役は佐藤真弓さん。
コントをつなぐ話の中で、井上ひさしの思想がよく表現されていた。
それで、コントだが、悲劇と喜劇というのは、表裏の関係であることがあらためてよくわかる出来栄えだった。
コップに水が半分ある。それは事実である。しかし、まだ半分もあると思うのか、もう半分しかないと思うのか、それは意見である。受け止め方である。そして、これは論争しても、決着がつかない。現代ではとくに、「離見の見」としてみるならば、悲劇と思えることが喜劇に見えることがある。というより、それが多すぎる。その意味で、井上ひさしさんのコントは、すすんでいたと言えるのではないか。笑いとばさなければいけないバカバカしさが、いまは真面目に批判精神もなく、実行されているのではないだろうか。
五大新聞どころか、地方紙もたくさん購読していた井上ひさしさんは、毎日ネタをたくさん仕入れていたに違いない。その意味で、書きたいことがたくさんあったに違いない。
井上ひさしさんのコントから学ぶことはたくさんある。