しんぶん赤旗日曜版が「自民党派閥パーティー資金の「政治資金報告書不記載」報道と、引き続く政治資金、裏金問題に関するキャンペーン」で、JCJ大賞受賞

 本日、公示となった衆議院選挙。

 今回の衆議院選挙のひとつの大きな争点は、いわゆる「裏金」議員の当落と、統一協会の支援を得て当選した統一協会議員の当落である。

 上脇博之教授の追及と「しんぶん赤旗日曜版」の報道とが政権を追い詰めたことが、今回の解散・総選挙へとつながったことは否めない。

 自民党をあげての「裏金」問題は、「大政治犯罪」であり、日本ジャーナリスト会議が、この10月5日に、「自民党派閥パーティー資金の「政治資金報告書不記載」報道と、引き続く政治資金、裏金問題に関する一連のキャンペーン」を展開した「しんぶん赤旗日曜版」に、「JCJ大賞」を授与したのは、ある意味、当然のことだった。

jcj.gr.jp

 以下、その授与理由の箇所だけを引用すると…。

 自民党の主要5派閥が政治資金パーティーのパーティ券大口購入者を、政治資金報告書に記載していなかったことをスクープした報道に始まった「しんぶん赤旗日曜版」の報道は、2023年から24年にかけての日本の政治を揺り動かした。
 公開されている膨大な政治資金報告書から、一つ一つを地道に積み上げ、検察の捜査にまでつなげ、それが大政治犯罪であることを明らかにした。
 政治資金パーティという、小さな問題に見えた事件は、実は政治資金問題の中心的問題で、事件の大きさは、自民党が公表せざるを得なかった議員が衆院51人、参院31人、計82人に上っていた(24年4月14日号)ことに示されるとおり、そのスケールの点では、1975年の「田中金脈」報道や、88年の「リクルート事件」報道を超えるものだった。
 国会は安全保障政策の大転換を迎え、極めて重要な問題を抱えていたが、この問題に多くの時間を割き、秋に予想される、総選挙もしくは自民党総裁選を控え、「政治資金改革」は、いま、最大の政治的焦点となっている。こうした事態を引き起こしたのは、「しんぶん赤旗日曜版」の報道なくしてはできなかったことであります。

 なるほど。

 この日本ジャーナリスト会議(JCJ)が創立されたのは1955年2月19日。岩波書店の雑誌「世界」の編集長・吉野源三郎氏が議長だったという。すぐれたジャーナリズムの仕事にたいしてJCJ賞を1958年より毎年授与している。

 これらのリストをながめてみると、特別賞や奨励賞などは、家永三郎氏、吉野源三郎氏、早乙女勝元氏、中沢啓治氏、松浦総三氏、高文研の「月刊考える高校生」、岩波書店ブックレット、石川文洋氏。吉田ルイ子氏らの名前があり、教えられたことが少なくない。
 JCJ賞となると、全部をあげることはできないが、『日本の黒い霧』・『深層海流』・『現代官僚論』を書いた松本清張氏(第6回/1963年度)。『戦場の村』(朝日新聞社刊)の本多勝一氏(第11回/1968年)。リクルート疑惑報道の朝日新聞横浜支局・川崎支局。「財務省による公文書の改ざんをめぐる一連のスクープ」:朝日新聞東京社会部・大阪社会部取材班(第61回/2018年)。菅義偉首相 学術会議人事介入スクープとキャンペーン:しんぶん赤旗(第64回/2021年)と、さらに記録的に重要なものばかりが列記されている。

日本の黒い霧(1960/1972)

「戦場の村」(1969)

 JCJ大賞となれば、これも全部をあげることはできないけれど、「森友学園」への国有地売却と「加計学園獣医学部新設を巡るスクープと一連の報道:朝日新聞取材班(第60回/2017年)。安倍晋三首相の「桜を見る会」私物化スクープと一連の報道:しんぶん赤旗日曜版(第63回/2020年)。映画「教育と愛国」:監督・斉加尚代氏(第65回/2022年)。「自民党統一教会汚染 追跡3000日」「自民党統一教会汚染2 山上徹也からの伝言」小学館:鈴木エイト氏(第66回/2023年)。自民党派閥パーティー資金の「政治資金報告書不記載」報道と、引き続く政治資金、裏金問題に関する一連のキャンペーン:しんぶん赤旗日曜版(第67回/2024年)と、さらに重要と思われるものが列記されている。

 あろうことに権力からジャーナリズムが敵視され、支配され、忖度ばかりが横行する、権力に飼いならされ堕落したマスコミばかりに囲まれている今日、文春砲や赤旗砲ばかりが目立つようになってしまった。一般紙の奮起を期待したい。

 「桜を見る会」私物化スクープで安倍政権を、日本学術会議人事介入問題では菅政権を、「大政治犯罪」の「裏金」問題では、岸田政権を追い詰めたのは、しんぶん赤旗ジャーナリズムであったということは記憶しておいて良いことだ。