「権力との向き合い方」と題する朝日新聞の「オピニオン」の欄で、「歴史探偵」であり作家の半藤一利さんが「自らの失敗にこそ厳しく」、また、ジャーナリズムへの期待を失っていないと強調されている。
(前略)
こうした無責任体質からの決別と問責から、戦後の国家、社会は始まったはずです。それが日本の民主主義の大前提です。朝日新聞はじめ、日本のジャーナリズムが民主主義を守り続けるというのなら、自らの失敗に厳格でなくして、権力の失敗に厳格に立ち向かえるはずがないでしょう。
しかし、私はジャーナリズムへの期待を失っていません。多角的な視点、偏らない多くの事実の積み重ねに基いた調査報道という機能が、その意義、価値を失っていないどころか、いま、ますます重要性を増しているからです。
(中略)
問題解決の方法も見いだせないし、事態は悪化するばかり。だからこそ感情や情緒で判断せず、まず事実を知ることが重要です。
そのためには、現場で何が起きているか。どんな対立、事態、あつれきがあって紛争に至ったか、しっかり把握するしかない。私たちに冷静で多角的な視点を提供するのはジャーナリズムによる事実探求しかありません。新聞、雑誌が頑張るしかないではないですか。