「米シリア攻撃、法的根拠に疑問=安保理決議なしの武力行使」(時事通信)

 以下、時事通信 4/10(月) 14:21配信から。
 

【ニューヨーク時事】トランプ米政権のシリア攻撃をめぐり、法的根拠に疑問が出ている。

 政権は「化学兵器の使用・拡散の抑止は米国の死活的利益」と主張し攻撃を正当化するが、法的根拠は明示していない。攻撃が国連安保理決議を経ずに行われたことを懸念する声もある。

 国連憲章主権国家への武力行使について、国連安保理の承認がある場合、あるいは自衛権行使の場合に認めている。今回の攻撃を容認する安保理決議はなく、「化学兵器の使用・拡散の抑止」が自衛権行使に当たるかは定かではない。

 根拠として他に考えられるのは人道主義の観点から武力行使する「人道的介入」だ。米国が関与した例としては北大西洋条約機構NATO)による旧ユーゴスラビア空爆(1999年)とリビア空爆(2011年)がある。

 今回のシリア攻撃に至る状況は、オバマ前政権が13年、シリアでの化学兵器使用をめぐり、軍事行動を検討した時と似ている。結局、軍事行動は回避されたが、検討時に前例として挙がったのが「民族浄化」防止を目的とした旧ユーゴ空爆だった。旧ユーゴ空爆安保理の承認を経ず、当時のクリントン政権も法的根拠を明示しなかった。

 一方、リビア空爆の際は、国家が国民を保護する意思を欠く場合の武力行使を容認した「保護する責任」による安保理決議が採択された。ただ、人道的介入の合法性に関してはまだ議論があり、ニューヨーク・タイムズ紙によると、米政府も安保理決議のない人道的介入が合法との立場は取っていない。