Sam Cooke の "A Change Is Gonna Come"(1964)

Ain’t That Good News

 サム・クック(Sam Cooke)の代表曲といえば、50年代にヒットした"You Send Me"。
 さらに重要な唄は、なんといっても、"A Change Is Gonna Come"だ。
 Peter Guralnick(ピーター・グラルニック)によれば、Sam Cookeの"A Change Is Gonna Come"は、3つの出来事からつくられたという。
 ひとつは、1963年5月、座り込み(シットイン)中の抗議学生から話を聞いたこと、ボブ・ディランの"Bowin' In the Wind(風に吹かれて)"を聞いて白人がこういう大事な唄が書けるのなら自分も書くべきだと思ったこと、そして、1963年10月、人種隔離政策期のルイジアナのホリディインホテルに泊まろうとして自分自身が逮捕されたこと、さらには同年、マーチン・ルーサー・キングジュニアが”I Have a Dream(私には夢がある)”というスピーチをおこなったこと。
 こうしてサム・クックは、1963年12月21日、ロサンゼルスのRCAスタジオで、教会以外で聞くことのできない公民権運動の講話を物悲しく歌ったのだ。
 The Bandの"Moondog Matinee"(1973)のヴァージョンもぜひ聞いてほしい。The Bandのヴァージョンのリードボーカルは、Rick Danko*1

*1:The Band のヴァージョンは、Sam Cooke の原曲の2番が省かれている。"I go to the movie and I go downtown / Somebody keep telling me don't hang around" この箇所の歌詞は明確に黒人差別を歌っているため、当時の白人社会の価値観からすれば、物議を醸しだし問題となる歌詞だった。The Bandがこの箇所を歌わなかったのは別の理由だと推測されるが、留意しなければならない点である。