「安倍首相が豪ダーウィン訪問 国防の要衝、巡視船を視察」

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 以下、朝日新聞デジタル版(2018年11月17日12時09分)から。

 戦前の日本軍がオーストラリアを攻撃したことはあまり知られていないかもしれない。
 ダーウィン空爆は、それでも知られているもののひとつだろう。ブルーム、タウンズヴィルなど、オーストラリアに対して日本軍は100回近く空爆をおこなっている。

 安倍晋三首相は17日、訪問先の豪州北部ダーウィンで、寄港中の海上保安庁巡視船「えちご」を視察した。同船は海賊対策のため先月末から豪州などに派遣されている。首相は「法の支配に基づく自由で開かれたインド太平洋を世界の海で体現してもらいたい」と述べ、船員たちを激励した。

 首相は第2次世界大戦中にダーウィン沖で沈没した旧日本海軍の「伊号第百二十四潜水艦」の乗組員の慰霊碑も訪れ、献花した。

 東南アジアに近いダーウィンは豪州にとって国防上の要衝の一つ。中国の南シナ海での軍事拠点化の動きもにらみ、2012年から米海兵隊も駐留している。

 1942年2月19日の日本軍による空爆では、250人ほどが犠牲となった。1901年に連邦となって以降、初の外敵からの攻撃だった。

 ダーウィン軍事博物館のノーマン・クランプ館長は「国内には日本に対する怨嗟(えんさ)の感情は、ほとんど残っていない。ただ、当時の豪政府が短期間でアジア全域を占領した日本軍をみて、ダーウィン空爆に(自国への侵略の)心配を募らせたのは理解できる」と指摘。豪州国立大のジョン・ブラクスランド教授(安全保障)は、首相のダーウィン訪問を「とても重要な意味があり、象徴的だ」と話した。(ダーウィン=田嶋慶彦、ポートモレスビー=小暮哲夫)