以下、朝日新聞デジタル版(2018年12月21日23時57分)から。
2019年度当初予算案の防衛費には、海上自衛隊の「いずも」型護衛艦を事実上、「空母」化するための調査研究費が盛り込まれた。また、相手の基地を直接たたく敵基地攻撃が可能になる長距離巡航ミサイルの取得費も計上された。総額は5兆2574億円で、5年連続で過去最大を更新。米国からの高額装備品の購入が押し上げている。
「いずも」型護衛艦を事実上、空母化する方針は、18日に閣議決定された「防衛計画の大綱(防衛大綱)」と「中期防衛力整備計画(中期防)」に明記された。調査研究費は7千万円。短距離で離陸し、垂直に着陸できる戦闘機の運用に向け、発着時の艦内への熱や音の影響を調べる。
ただ、戦闘機の運用次第では憲法上認められていない「攻撃型空母」になりかねない。来年の通常国会での論点になりそうだ。
戦闘機に搭載し、相手の射程外から攻撃できる長距離巡航ミサイルの取得費は79億円を計上。島嶼(とうしょ)防衛のため、最終的に約1千キロの射程も視野に入れる高速滑空弾の研究費として139億円が盛り込まれた。こうした長い射程を持つミサイルは、運用次第で敵基地攻撃が可能になるため、「専守防衛の原則から逸脱する」との反発が出そうだ。
また、陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」2基の整備費として1757億円が計上された。安倍政権下では、イージス・アショアのように米国政府から兵器を取得する有償軍事援助(FMS)契約が急増。19年度は契約ベースで過去最大の7013億円に達した。(藤原慎一)