「軍事費 コロナ禍でも最大更新」

以下、しんぶん赤旗(2021年1月30日)「2021年度 予算案の焦点(9)」より。「予算案の焦点」は今回でおわり。

 2021年度予算案の軍事費は、5兆3422億円にのぼりました。20年度比289億円増。コロナ禍のもとでも、憲法破壊の「敵基地攻撃」兵器の整備をはじめ、米国追随の軍拡を進め、9年連続の増額となり、7年連続で過去最大を更新しました。

敵基地攻撃能力を先行
 陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」に替わる「イージス・システム搭載艦」導入に向け、調査費として17億円を計上しました。2隻の新造を決めていますが、導入費用は2隻で5000億円以上。アショア2基の4000億円を上回るうえ、運用維持費を含めれば1兆円を超えるといわれ、費用は青天井です。

 敵の攻撃圏外から対処できる長距離巡航ミサイル=「スタンド・オフ・ミサイル」の整備を推進。政府は、なし崩し的に敵基地攻撃能力の保有を先行させています。

 陸上自衛隊のミサイル「12式地対艦誘導弾(SSM)」の射程を大幅に広げ、陸海空のいずれからも発射できるようにし、関連費で335億円を盛り込みました。

 4機391億円の取得費をつけたステルス戦闘機F35Aに搭載する長距離巡航ミサイル「JSM」の取得で、149億円を計上。また、島しょ防衛用高速滑空弾の研究で150億円、極超音速誘導弾の研究費で90億円をつけています。

 小型人工衛星網「衛星コンステレーション」の研究費で2億円を盛り込みました。マッハ5以上で飛行し、軌道も自在に変えられる極超音速滑空兵器など、従来の装備では探知・追尾が難しい最新鋭ミサイルに米軍と連携して対処するため。

高額兵器が財政を圧迫
 高額兵器の購入が将来の財政を圧迫しています。単年度の予算で支払いきれない金額を翌年度以降に先送りした「軍事ローン」の返済となる歳出化経費は、2兆378億円。新たなツケ払いとなる「新規後年度負担」は2兆5951億円となりました。借金残高となる「後年度負担額」は、過去最大の5兆5330億円にまで膨らんでいます。

 菅義偉政権の問答無用の体質があらわれているのが沖縄です。同県名護市辺野古の米軍新基地の建設費で846億円を盛り込みました。陸上自衛隊ミサイル基地配備で、石垣島の基地整備関連経費で351億円を計上。宮古島陸自ミサイル部隊の弾薬庫建設が進む保良鉱山地区の構内道路整備などで20億円をつけました。いずれも、住民の反対の民意を踏みにじって強行しています。