以下、朝日新聞デジタル版（2018年12月11日21時15分）から。
米軍普天間飛行場（沖縄県宜野湾市）の名護市辺野古への移設工事の総事業費は２・５兆円にのぼり、防衛省の当初計画の約１０倍になる、と沖縄県が試算した。完成までの期間も１３年はかかると見込む。沖縄県による試算は初めて。
試算の内容は、玉城デニー知事が１１月２８日の安倍晋三首相との会談で伝えた。
総事業費は防衛省の２０１３年の当初計画では、約２３１０億円。１４年に約２４０５億円に増えた、と県に届けがあった。
だが、事業の途中段階で費用が大きく膨らんでいる実態がすでに明らかになっている。防衛省が県による埋め立て承認撤回に対し行政不服審査請求を国土交通相に申し立てた文書によると、今年３月末までに契約した分は約１４２６億円で、総事業費の約６割に達した。うち約９２０億円はすでに業者に支払われたという。
県によると、建設予定の２２本の護岸のうち、完成したのは６本で１本が建設中。当初計画ではここまでで約７８億円で済むはずだったが、１２倍近くかかった計算になる。
こうした状況から、県は総事業費を試算。残りの護岸工事も、１４日にも土砂投入が始まる埋め立て工事も費用が１０倍になると見積もり、計約２兆４千億円に膨らむと結論づけた。
さらに、市民団体の防衛省に対する情報公開請求で判明した、埋め立て予定海域の一部がマヨネーズのような軟弱地盤の可能性があることも検討。米軍岩国基地（山口県）の滑走路沖合移設事業など過去の事例を参考に、地盤改良工事に追加で約１５００億円かかると見込んだ。
工期も、計画では埋め立てに５年だが、県の試算ではさらに地盤改良工事で５年、埋め立て後の施設整備などで３年の計１３年かかるとみている。県幹部は「税金で米軍基地を造るのに、実際にかかる金額が示されていない。国民は、税金の使途としても疑問を持ってほしい」と話している。（伊藤和行）
