以下、朝日新聞デジタル版(2018年12月12日19時25分)から。
東京電力福島第一原発事故の作業で被曝(ひばく)した後に甲状腺がんになった50代の男性について、厚生労働省は12日、労災を認定したと発表した。認定は10日付。事故対応にあたった作業員が、被曝によるがんで労災認定されたのは6人目。甲状腺がんでは2人目だ。
男性は東電の協力企業の社員で、1993年11月から2011年3月のうち約11年間、複数の原発で、放射線管理区域内での電気設備の保全業務をしていた。11年3月の福島第一原発事故の直後には、電源の復旧工事などにあたった。
17年6月に医療機関で甲状腺がんと診断され、日立労働基準監督署(茨城)に労災を申請していた。
男性の累積の被曝線量は約108ミリシーベルト。約100ミリシーベルトが事故後の被曝で、そのうち約37ミリシーベルトは放射性物質が体内に取り込まれて起きる内部被曝だった。厚労省は被曝が原因の労災認定について「被曝が累積100ミリシーベルト以上」などとする基準を設けており、これに該当すると判断された。
厚労省によると、福島第一原発事故の被曝によるがんで労災認定されたのは甲状腺がんの2人のほかに白血病が3人、肺がんが1人。ほかに調査中の人が5人いる。(松浦祐子)