東京五輪・パラリンピック関連の建設現場で働く人たちの労働環境について、国際機関の聞き取り調査が3日、東京都内で行われた。すでに2件の労災死亡事故が発生したことを受けたもの。結果は組織委員会などに提出される。
調査したのは、国際建設林業労働組合連盟(BWI、本部・ジュネーブ)。BWIに加盟する労組「全国建設労働組合総連合」(全建総連)が依頼を受け、新国立競技場や選手村などの建設現場で働く労働者40人を集め、意見交換とアンケートをした。
選手村で働いていた男性は、「誤った作業手順が進められ極めて危険で、命がいくつあっても足りない」と話した。1カ月で仲間たちと仕事を辞めたという。工期も当初言われた時よりも短い時間で仕上げるように指示され、「現場は、せかされ、追い詰められている」などと語った。
「情報統制がすごい」「外国人の技能実習生には、資材を引き上げるなど単純作業を行わせていて、見ていてかわいそう」などの意見もあった。
BWIは、過去10年にわたり、五輪やサッカーワールドカップ(W杯)の建設現場の調査を実施している。人権侵害や賃金未払いなども頻発しており、昨年のロシアW杯では、20人以上が労働中に死亡しているという。
BWIアジア太平洋地域責任者のアポリナール・トレンティノさん(52)は「東京五輪の関係施設を建設している労働者の労働状況を改善したい」。全建総連書記次長の奈良統一さん(52)は、「現場の実態を聞いて驚いた。これを契機に、建設現場の実態が是正できれば」と話した。(平山亜理)