以下、朝日新聞デジタル版(2019年3月5日16時30分)から。
米下院司法委員会のナドラー委員長は4日、トランプ大統領による司法妨害や職権乱用の疑惑に関する調査を開始したと発表した。弾劾(だんがい)手続きも視野に入れた動きだ。
トランプ氏の元側近や親族など81の個人や団体に関連資料の提供を要請する書簡を送った。セッションズ前司法長官やホワイトハウスのマクガン元法律顧問、トランプ氏の長男ジュニア氏のほか、一族が経営する不動産会社の幹部も含まれている。協力を拒否した場合、委員会として召喚する可能性がある。
ナドラー委員長は「法の支配への脅威を調査するのは議会の責務だ」と述べ、「議会は権力の乱用を検証しなければならない」と強調した。
トランプ氏は一昨年5月、ロシア疑惑を捜査していたコミー連邦捜査局(FBI)前長官を突如、解任。コミー氏や他の情報機関幹部に捜査中止を求めた司法妨害の疑惑が出ている。さらに、元顧問弁護士が、トランプ氏の不倫相手とされる元ポルノ女優に口止め料を支払うことを指示されたことを証言するなど様々な違法行為関与の疑いが出ている。
一連の疑惑について、マラー特別検察官が近く捜査報告書をバー司法長官に提出するとみられている。トランプ氏への弾劾の根拠にもなるが、捜査報告書は機密文書とされ、バー氏が開示範囲を限定する可能性が高い。
ナドラー委員長は「特別検察官の捜査が公から秘匿されるかもしれない」として、議会独自の調査の重要性を強調した。
トランプ氏は4日、記者団に「政治的なでっち上げだ」と述べ、司法委員会の調査に反発した。(ワシントン=杉山正)