以下、朝日新聞デジタル版(2018年10月7日07時33分)から。
米連邦議会上院(定数100)は6日、連邦最高裁判事にトランプ大統領が指名したブレット・カバノー氏(53)をあてる人事案を賛成50、反対48の賛成多数で承認した。採決を経てカバノー氏は宣誓を行い、最高裁判事に正式に就任した。最高裁は米社会を二分する政治・社会問題について、最終の司法判断を下す。保守派のカバノー氏就任で、最高裁は今後、保守色を強めるとみられる。
最高裁判事は長官を含む9人で構成し、保守派とリベラル派が4対4に分かれ、カバノー氏の前任者で引退した中間派のアンソニー・ケネディ氏が判断を左右していた。保守派の最高裁判事の増員は与党・共和党の支持層の悲願で、トランプ氏は11月の中間選挙を前に大きな政治的成果を得たことになる。
カバノー氏は指名後、性的暴行疑惑が相次いで浮上。野党・民主党は最高裁判事としての適格性を疑問視し、カバノー氏に暴行されたと訴える女性を支え、カバノー氏の不承認を求める抗議運動も広がった。中間選挙を前に、与野党の支持層が互いを攻撃し、米社会の分断がいっそう深まる結果となった。
カバノー氏の承認後、トランプ氏は遊説先のカンザス州に向かう専用機の中で「カバノー氏が民主党の本当にひどい攻撃に耐えきったことを誇りに思う」「彼は何年にもわたり、素晴らしい最高裁判事になるだろう」と話した。
カバノー氏は、最高裁判事を30年務めたケネディ氏の引退に伴い、7月にトランプ氏から後任に指名された。最高裁判事は終身制。カバノー氏は連邦控訴裁判事時代、銃規制に慎重、女性の妊娠中絶の権利に否定的など保守的な判断を示してきた。最高裁判事に就任したことで、最高裁の司法判断は今後、保守化するとみられ、その影響は数十年続く見通しだ。(ワシントン=香取啓介)