「トランプ政権「米国第一」継続へ ねじれ議会と対立必至」

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 以下、朝日新聞デジタル版(2018年11月7日21時10分)から。

 トランプ米大統領の任期前半の信任が問われた中間選挙が6日に投開票され、連邦議会下院では野党・民主党が都市部や郊外の選挙区で票を伸ばし、8年ぶりに過半数を奪還した。一方で、上院は与党・共和党が現有よりも議席を伸ばす勢いで、上下院で多数派が異なる「ねじれ議会」となる。トランプ氏はこれまで通り「米国第一」主義の政策を進めるとみられるが、下院と対立するのは必至だ。

 下院(任期2年)の435議席すべてと、上院(任期6年、定数100)のうち35議席が改選された。トランプ氏が就任後初めて国民的な審判を受ける今回は、上下両院で共和党過半数を維持できるかが最大の焦点だった。下院は、民主が改選前の193議席から大幅に積み増し、過半数の218議席以上となった。ABCの出口調査では、トランプ氏の支持は44%、不支持は55%で、この支持率が議席に反映された。

 民主は女性や若者、黒人や移民、性的少数者らに訴え、「反トランプ氏票」を掘り起こし、党のイメージ色にちなんだ「ブルーウェーブ」(青い波)を起こす戦略をとった。支持基盤の都市部に加え、バージニア州ペンシルベニア州フロリダ州などの郊外の選挙区で、女性候補共和党現職を破った。民主が下院を奪還するのはオバマ政権の2010年以来となる。

 民主党が下院で多数派となり、下院議長や外交、歳入など全委員長ポストを独占する。トランプ氏や側近のスキャンダル・疑惑を議会で追及できるほか、大統領には法案や予算の提出権限がないため、「ねじれ議会」でトランプ氏は民主党と対立する政策を実現しにくくなる。民主下院トップのペロシ院内総務は、ワシントンの集会で「(今日の勝利は)民主党共和党を超えたもの。憲法を回復させ、トランプ政権の専制をチェックする」と話した。

 一方、共和党とトランプ氏は、劣勢だった下院よりも、過半数を維持しやすい上院の選挙区を重視する戦略をとった。全100議席のうち今回選挙になったのは35議席(二つの補選を含む)。共和は改選されない議席を42持っていたため、あと8議席を取れば、過半数を維持できるためだ。

 トランプ氏は2016年の大統領選当選の原動力となった中西部や南部の激戦州をまわり、好調な経済と株高、歴史的な失業率の低さを政権の成果としてアピールした。選挙戦終盤には中米からの「移民キャラバン」を犯罪と結びつけて恐怖をあおる手法で保守的な支持層を固めた。トランプ氏が指名した保守的な最高裁判事が承認されたことも、追い風になったとみられる。

 インディアナミズーリノースダコタの各州で民主現職から議席を取り返した。米CNNによると、日本時間7日午後7時現在で、共和が51、民主が45。トランプ氏は大勢が判明した6日夜、「今夜はものすごい成功だ。みんなありがとう!」とツイートした。

 36州であった知事選は、同時刻現在、民主が少なくとも6州で取り返した。州知事は州の予算配分などに大きな権限を持ち、10年ごとの下院の選挙区見直しなど、選挙行政にも影響力がある。(ワシントン=香取啓介)