以下、朝日新聞デジタル版(2019年6月2日5時0分)から。
米南部バージニア州バージニアビーチで5月31日に起きた乱射事件で、少なくとも12人が犠牲になり、容疑者の市職員の男も警察との銃撃戦の末、死亡した。米国では今年4人以上が被害にあった銃撃事件はこれで150件目。銃規制が叫ばれる中、銃の暴力が繰り返されている。
事件の一報が警察に入ったのは31日午後ログイン前の続き4時過ぎ。現場となった市の行政部門が入る施設に警官が駆けつけ、容疑者の男と銃撃戦になった。警察によると、男は公共施設担当のエンジニアとして約15年間勤めていたドウェイン・クラドック容疑者(40)。周囲に不満を漏らしていたという。市によると、犠牲者12人のうち11人は市職員だった。
事件に使われたのは45口径の拳銃。消音器や弾薬の数を増やせる複数の「拡張弾倉」も備えていた。警察によると、現場や男の自宅からは他にも銃器が見つかったという。全米ライフル協会(NRA)によると、同州では銃の購入に許可や登録は必要なく、拳銃は公の場で携行することも認められている。
米国では乱射事件のたびに、殺傷能力の高い銃の禁止や購入年齢の引き上げなどが検討されてきた。しかし「憲法で保障された権利が侵される」との反対の声が上がり状況は変わっていない。(ニューヨーク=藤原学思、ワシントン=香取啓介)