「この貧困、自己責任だもの 格差認め自民支える若者たち」

以下、朝日新聞デジタル版(2019年7月2日5時0分)から。

 深夜。東京・銀座のブランドショップ。華やかな服やカバンが並ぶ、客の消えたフロアに作業服を着た男たちが集まってきた。モップを構え、日が昇るまでに床や壁を磨き上げる。アルバイト代として支払われるのは、5時間で約7千円。朝方、スーツを着た人の波に逆らって、寮に戻る。バイトの同僚と2人部屋。コンビニやスーパーで買う弁当とビールが「唯一のぜいたく」だ。

 中村克利さん(36)は、そんな暮らしをして6年になる。地元・徳島市の高校を出て塗装業に。山口県の自動車工場でも働いたが、リーマン・ショックのあおりで雇い止めになり、東京へ出てきた。「自分は貧困層だと思う」と言う。東京五輪後にいまの仕事が減り、もしクビになれば「ホームレスかも」と不安が消えず、ハローワークにも通っている。

 その中村さんの投票先は自民党だ。「この先どうなるかわからない。自民が引っ張っていれば、よくはならないけど悪くもならない」と言う。

 総務省の調査によると、2018年の非正規雇用は10年前と比べ350万人あまり増え、約2120万人となった。働き手に占める割合は約38%と過去最高の水準にある。背景には、バブル崩壊後の雇用情勢の悪化や自民党が進めた規制緩和などがある。

(後略)

(一色涼、福井悠介)