「沖縄・名護市長選 公明が注力 自民系支援、影響力維持図る」

以下、毎日新聞(2018年1月19日 東京朝刊)より。

 公明党が、2月4日投開票の沖縄県名護市長選で、自民系候補予定者の支援に本腰を入れている。市長選は今秋の知事選の前哨戦で、米軍普天間飛行場宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画に影響を及ぼす。前回は移設問題への深入りを避けて自主投票だったが、今回は「自公連立」を優先し、党県本部の推薦を出した。市長選への貢献で、政権内での影響力の維持・拡大を目指す。【木下訓明】

 18日の公明党中央幹事会では「厳しい戦いだが追いかけている」との報告に時間が割かれ、山口那津男代表は「取り組むからには、先頭に立って勝ち抜きたい」と強調した。

 前回は自民系候補と移設反対の稲嶺進氏(72)が争い、稲嶺氏が約4100票差で勝利。今回は稲嶺氏に元自民系市議の渡具知武豊(とぐちたけとよ)氏(56)が挑む。市内に2000票の基礎票を持つとされる公明党の動向がカギだ。

 これまでの公明党の及び腰は、県本部が辺野古移設に反対だったためだ。今回も渡具知氏が市議時代に移設容認だったとして推薦に難色を示した。しかし昨年の衆院選で、自民党比例代表での公明党への投票呼びかけを強化。市内の公明票は過去最多の5789票に達し、明確な協力のなかった2005年衆院選(1763票)、一部協力にとどまった14年衆院選(3558票)を上回った。政権幹部は「結果を評価してもらえる」と述べ、推薦を強く働きかけた。

 渡具知氏自身も移設容認の持論を封印。自民党本部も、運動員向けの内部文書で「辺野古の『へ』も言わない」との方針を打ち出した。こうした環境が整い、公明党は渡具知氏推薦を決定した。憲法改正の国会論議を控え、自民党に貸しを作る狙いもありそうだ。

 市長選は自民党の分析でも「激しく追い上げている」とされ、菅義偉官房長官も現地入り。自公両党は今後も幹部を投入する。稲嶺陣営や翁長雄志知事支持の「オール沖縄」勢力は危機感を強める。昨年の県内市長選で保守系候補に3連敗し、名護市も失えば知事選に影響しかねない。翁長氏は「市長選は全力投球で支援する」と繰り返している。