「「自公連携」に反旗翻す創価学会員の訴えは 沖縄知事選」

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 以下、朝日新聞デジタル版(2018年9月24日18時28分)から。

 米軍普天間飛行場沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設の是非が争点となっている沖縄県知事選。公明党は、移設を推し進める安倍政権に近い佐喜真(さきま)淳氏(54)を全面支援する。だが、支持母体・創価学会員の中には「移設反対」の意見もあり、党の方針に反旗を翻す人もいる。

 告示日の13日、那覇市。「辺野古反対」を貫いた翁長雄志(おながたけし)知事の後継候補・玉城デニー氏(58)の街頭演説を、青、黄、赤の創価学会の三色旗を手に聴き入る男性がいた。浦添市の会社員野原善正さん(58)。「おかしいと感じている学会員が自分の行動を見て声を上げられるよう、あえて三色旗を持ってきた」

 24歳で創価学会に入り、熱心に活動してきた。だが安倍政権が2014年7月、集団的自衛権の行使を認める閣議決定をし、公明も容認したことに「おかしい」と感じて公明支持をやめた。学会員の集まりなどのたびに異議を唱え、学会にも抗議したが、相手にされなかった。

 沖縄戦の経験から、沖縄の創価学会は伝統的に反戦意識が強いと言われてきた。辺野古移設について、公明県本部は今も「反対」を掲げる。前回知事選では自民が推薦した「移設推進」の仲井真弘多氏を推さず、公明は「自主投票」とした。

 だが当選した翁長氏が政権と激しく対立すると、県本部は徐々に自民に接近する。2月の名護市長選では、移設を事実上容認する新顔を党として推薦し、勝利した。今回の知事選は「自公連携」を強化。県本部は佐喜真氏と政策協定を結んだが、辺野古移設に触れていない。

 野原さんは言う。「学会も公明党も平和を希求しているはず。辺野古に基地を造ること自体がおかしいのに、学会員を集票マシンとして利用している」

 22日の玉城氏の集会では、那覇市出身の住友ヒサ子さん(65)=東京都新宿区=も三色旗を掲げ、「今の公明党は平和思想に反する。真実を見抜いて投票しましょう」と呼びかけた。県内に住む親戚に玉城氏支持を訴えているという。「辺野古反対と言っておきながら、佐喜真さんに投票するなんてあり得ない」

 ただ、公明県議はこうした反発を「ごく少数」と言う。「大半の学会員は、国と対立しすぎた翁長氏に疑問を持ち、党の方針を理解してくれている」。県内の公明票は7万〜8万とされる。

 那覇市の会社員知念昌光さん(75)は10日、恩納村の学会施設で創価学会原田稔会長の話を聞いた。原田会長は平和の尊さを訴えつつ「佐喜真さんを応援しよう」と話したという。知念さんも生活の向上を訴える佐喜真氏を支持する。

 辺野古反対。翁長氏の「イデオロギーよりアイデンティティー」という言葉に共感した。だが「普天間が返還されれば、実質的には基地の縮小だ」と自分に言い聞かせているという。(伊東聖、山下龍一、伊藤和行