「香典で状況一変「法的に厳しい」 政権もかばいきれず」

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以下、朝日新聞デジタル版(2019/10/25 9:43)から。

 今月上旬に選挙区内で寄付行為を行ったとする「買収疑惑」が週刊誌報道で浮上して以来、野党から追及を受けてきた菅原一秀経済産業相が辞任に追い込まれた。

 政権は、当初報じられた菅原氏が選挙区の有権者らにカニやメロンなどを贈ったとする疑惑には、「だいぶ古い話だ」(政府高官)として問題視しない姿勢だった。菅原氏本人が「(贈った記憶は)私の認識ではない」と国会で答弁していたことに加え、贈答品を贈った時期が2006~07年で、すでに公訴時効を迎えていたからだ。

 しかし23日になって、週刊文春がウェブサイトで、今月17日に菅原氏の秘書が地元有権者の通夜で香典2万円を渡したとする記事を流すと、状況は一変した。自民党内からも「法的に厳しい」(党関係者)として進退論が浮上。政権としてもかばいきれないという判断に傾いた。

 菅原氏は初入閣後、経産相として関西電力の役員らによる金品授受問題の対応を指揮。関電に対し、「極めて言語道断でゆゆしき事態」と語気を強め、厳正に対処する構えを見せていた。

 菅原氏は菅義偉官房長官と近いことでも知られ、菅氏を支持する自民党無派閥議員が立ち上げた「令和の会」のまとめ役を務めている。菅原氏の入閣をめぐっては、菅氏が「ちゃんと仕事をした人を評価して下さい」と安倍首相に推した経緯があった。辞任を受け、菅氏への批判が自民党内からもあがっている。

 公選法が禁止する寄付行為をめぐっては、自民党小野寺五典衆院議員が1999年、地元で線香を配ったとして公職選挙法違反の容疑で書類送検され、翌年に議員を辞職した。安倍政権の閣僚では14年、小渕優子経産相(当時)が有権者に小渕氏の名刺と箱入りのボトルワインを贈っていたことなどが発覚。松島みどり法相(当時)も自らの似顔絵や政策が書かれた「うちわ」を選挙区で配っていた問題が発覚し、ダブル辞任に追い込まれている。

 一方、野党は追及を強める構えだ。立憲民主党安住淳国会対策委員長は25日、記者団に「(首相の)任命責任がある。1カ月もしないうちの辞任だ。そもそもなぜ選んだのか、誰が推薦したのか。経緯を含めて首相にたださないといけない」と指摘した。(安倍龍太郎