以下、朝日新聞デジタル版(2021/8/9 19:08)から。
朝日新聞の世論調査(7、8両日)で菅内閣の支持率が28%と発足以来最低に下がったことを受け、自民党内からも菅首相に対する厳しい意見が相次いだ。政権が浮揚策として期待した東京五輪は8日に閉幕。自民党のベテラン議員は「今までは、五輪が目くらましになってきたからまだ良かった」と漏らし、五輪がなければさらに批判が強まっていたとの見方を示した。
立憲民主党の蓮舫代表代行は朝日新聞の取材に「いくら五輪が盛り上がっても内閣支持率にはつながらない」と指摘。同党の新型コロナ対策本部長の逢坂誠二氏も「感染者が急増する中、合理的な説明もなく五輪を強行したことへの国民の不満の表れ」と批判した。
自民党の中堅議員は「有権者は首相に嫌気がさしている」とし、閣僚経験者も「地元で誰も菅さんをよく言わない」と語る。
そのため、9月末の総裁任期満了に伴う総裁選の行方にも影響が出かねない状況だ。
選挙の基盤が弱い若手は「無投票はあり得ない。誰か出さないと」と焦りを隠さない。
内閣支持率は下落しているものの、自民党支持率は32%で5月以降横ばいが続いている。衆院選比例区投票先としての自民も35%だ。
こうした数字を踏まえ、首相周辺は「内閣支持率が下がる一方で政党支持率が堅調。ならば『選挙の顔を変えろ』となる。これまでは無投票で再選できればと考えていたが、そうはいかないかもしれない」と危機感を募らせる。首相を支えるベテランも「総裁選となればこれまでくすぶっている首相への不満が噴き出す。だから(総裁選をさせないために)9月に解散するんじゃないかという話も出ている」と語る。
ただ、「ポスト菅」としての有力候補は今のところ見当たらない状況が続いている。最大派閥の細田派の細田博之会長は8日、松江市で会見し、菅首相の再選を支持する考えを示した。
一方、野党第1党の立憲民主党は伸び悩んでいる。政党支持率は6%、比例区投票先も15%にとどまる。
立憲幹部は「野党が批判の受け皿になりきれていない」と語る。同党若手議員も「政府はいい加減にしろという雰囲気は強まるのに、『立憲がんばれ』とはならない。誰がやっても同じだという諦めの空気がある」と語った。野党にとっても、「浮揚策」は見当たらない。そのため党幹部はこう漏らした。「菅さんのままで選挙に突入することが好都合。誰か新しい総裁で選挙をされる方がつらい」