以下、朝日新聞デジタル(2021/7/5 0:56)から。
東京都議会議員選挙(定数127)は4日投開票され、自民党が第1党となったが、選挙協力した公明党と合わせても過半数に届かなかった。新型コロナウイルスの感染状況が悪化する中、ワクチン接種の遅れや東京オリンピック(五輪)・パラリンピックの観客問題で自公政権への批判が高まったことが影響したとみられる。投票率は42・40%(前回51・28%)。
菅義偉首相は4月の三つの国政選挙での「全敗」に続き、都議選でも伸び悩んだ。次期衆院選を控え、党内では危機感が強まっており、菅首相の求心力が低下するのは避けられない情勢だ。
自民は前回2017年の選挙で、小池百合子知事が率いた地域政党「都民ファーストの会」の躍進で、歴史的大敗を喫した。今回、「国政選挙に直結する大事な選挙」(菅首相)と位置づけ、政党で最多の60人を擁立。議席が増えることは党内で想定内で、「自公で過半数」を最低ラインの目標としていた。
だが、自民は33議席にとどまり、40年ぶりに第1党の座を失った09年の38議席を下回った。09年の都議選後の衆院選では、自公が政権から陥落している。1993年以降、全員当選が続く公明は告示前と同じ23人を擁立し、今回も23人全員が当選した。
党内で予想外の低調になった理由に挙がっているのが、菅政権の新型コロナへの対応だ。
菅首相が「切り札」とするワクチン接種では、供給不足に陥るなど政府の対応に混乱が生じた。閣僚経験者の一人は「自治体を急がせておきながら、最後はハシゴを外した形。選挙に相当響いた」と指摘する。一方、自公とも五輪には公約では触れず、推進の立場で臨んだ。
都民ファは、告示前の45議席からは減らし、第1党の座を守れなかったが、自民に次ぐ31議席を獲得し、第2勢力となった。選挙戦では、受動喫煙防止条例や待機児童対策など小池都政の実績を前面に訴えた。小池氏が告示直前に疲労で静養に入る中、小池氏と写ったポスターやチラシで「知事与党」をアピールし、五輪の「無観客開催」を公約に掲げた。
いち早く五輪の中止を公約に掲げた共産党は31人を擁立し、コロナ下の菅政権や小池都政の対応を「人災」と強調し、告示前の18議席を上回る19人が当選を決めた。国政野党第1党の立憲民主党も五輪の「中止か延期」を掲げ、1~2人区を中心に共産と候補者調整を重ねて28人が立候補し、告示前の8議席を上回る15人が当選を決めた。