「ブラック校則、県立高の9割以上に 岐阜で廃止の動き」

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以下、朝日新聞デジタル版(2019/11/6 10:50)から。

 岐阜県立高校で慣習化してきた不適切な校則を廃止する動きが広がっている。市民団体の指摘を受け、県教育委員会が調べたところ、9割以上の学校に人権などに配慮する必要がある校則があった。移行期間を経て、来年度からすべて廃止される予定だ。


 下着の色の指定や政治活動の制限など、生徒の生活を必要以上に制限する校則は「ブラック校則」と呼ばれる。市民団体「子どもの人権ネットワーク・岐阜」(代表・河合良房弁護士)は「憲法子どもの権利条約教育基本法に違反する」として、その見直しを求めてきた。

 指摘を受け、県教委が調査したところ、61校(全日制)のうち、制服着用時の下着の色などを制限する高校が16校、外泊・旅行の届け出や許可を求める高校が46校、選挙運動や政治的活動を制限する高校が11校あった。

 県教委は校則の見直しに乗り出した。「私生活上の旅行・外泊について許可を必要としている校則」「政治活動は自由であるにも関わらず集会への参加や団体加入について許可・届け出を必要としている校則」「下着の色の指定など確認行為が新たな人権問題となりかねない校則」「時代の要請や社会常識の変化に伴い適用が想定されない校則」を見直しの主な対象とした。

 今年2月の校長会議で、すべての学校に再点検を指示。生徒の人権を守る観点から、不適切な校則が残っていないか調べた。その結果、9割以上の学校に該当する校則があり、削除することにした。

 県教委によると、該当するすべての学校が問題の校則を削除したという。生徒手帳への記載などが残っている場合があるため、移行期間を経て、来年度からは正式に廃止される予定だ。

 一方で、批判を受けながら廃止の対象とされなかった校則もある。

 県立高校のうち8校で、合格時や入学時に生徒の髪色や髪質について申請させる校則がある。このうち岐阜総合学園高校では、「くせ毛・地毛茶等の生徒は合格発表時に必ず生徒指導部に申し出ること」と定めている。

 県教委は「黒染めを求めるものではなく、生まれながらの自然な髪形が良いという意味を丁寧に説明してから本人や保護者に確認するよう各校に求めている」として、廃止の対象にしなかった。

 河合弁護士は「動き出してくれたことは評価したい。子どもたちの人権侵害をなくすという点では、まだまだ議論していく必要がある」と話している。(松浦祥子)

廃止された校則の一部
【下着】

アンダーウェアは、白・黒・紺・グレー・ベージュの単色とする(岐阜総合学園)/肌着は白色を原則とする(岐南工業)/女子は白色Tシャツまたはキャミソール(益田清風

【外泊・旅行】

無断外出、外泊はしない(県岐阜商)/保護者が同伴しない旅行・登山・キャンプなどする場合許可を得る(関)/宿泊を伴う男女合同の旅行は禁止(郡上北)

【団体加入・集会参加】

校外での行事を計画するまたは参加する場合は許可を得る(加茂)/校外の活動・団体に参加する場合保護者承認のもと関係の先生を通じて生徒指導部に届ける(中津)

【政治活動】

校内、学校の教育活動の場において選挙運動・政治的活動は行ってはならない(吉城)/政治的活動を個人またはグループで実施する場合、校長に願い出て許可を得る(東濃実業)